「親の家を譲り受けるスタイル」が一般的だったが
生涯設計を考えるうえでは、単に住んで快適というだけでなく市場で高値売却ができる「資産価値」という点で住宅を選ぶことも非常に大切です。病気の治療費や親族の介護費、子どもや孫への相続財産としてなど、住まいを「資産」として活用できれば人生の選択肢が広がります。
住宅をはじめとする不動産の価値は、その時々の地価(路線価)や土地面積などをもとに算出されますが、判断基準の一つに財務省の規定する「耐用年数」があります。固定資産税の算出のために用いられる数値で、建物以外にも車両や工具、備品といった資産や設備が何年くらい使用可能なのかを表しています。
国税庁の「耐用年数表」によると、不動産の耐用年数は木造が22年、鉄骨造が34年、RC造の場合には47年となっています。つまり、RC造はほかの構造に比べ長期間の使用に耐えられると国が保証しているのです。もちろん、実際にはもっと長く使用できますが、資産としての価値を担保できるのがこの期間と考えるといいでしょう。
かつて日本では、親の家を譲り受けるというスタイルが一般的でした。しかし高度成長期を迎え、個人の所得が増えるとともに、独立して新築を購入するのが一種の男性のステイタスとされたのです。
また、建築工法の発展などにより戸建て住宅自体にも魅力的なデザインのものが増加しました。そこで、まだまだ住める住宅が取り壊され、新築されるケースが少なくなかったのです。そのため、法定耐用年数は実用に耐える年数よりもずいぶん短く設定されている傾向がありますが、それでもRC造のほうが木造の2倍以上の耐久性があるという比率についてはそのまま認めて問題ないでしょう。