「70歳以上の社長」が全体の6割を占める現実
事業を始めれば、いつか終わりが来ます。日々の業務に追われていますと、事業の終わらせ方について考えることを後回しにしがちです。しかし、とうとう中小企業の後継者問題にも高齢化の波が押し寄せています。
中小企業庁によると、最も多い経営者の年齢が、2018年には69歳となっており(図表1)、2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・個人事業の経営者の数が約245万人(日本企業全体の約6割)になると推測しています。
先述したとおり、2025年には65歳以上の高齢者のうち、20.6%(5人に1人)が認知症を発症していると推測されています。認知症の経営者には、様々な問題が生じます。国が急務と訴える事業承継の現場には、認知症のリスクが潜んでいるのです。
「いざ」となると手遅れ…後回しにできない後継者問題
定年退職という制度に無関係な経営者の方も多いと思います。「本人がまだまだできると言っている」こうした声をたくさん聞きます。社長が人生を賭して会社を育ててきたことを知っているご家族または従業員から、社長に引退話を切り出すことが難しい場合もありますよね。
定年退職がないからといって、後継者問題を先延ばしにしてはいけません。認知症から派生する様々な問題は、「急務になった」といって手が差し伸べられたときには、手遅れになっていることが少なくありません。早めに対策することがとても重要です。
「子供が大企業で働いていて継ぐ気がない」「子供に同じ苦労をさせたくない」社長の気持ちはよく分かります。誰に会社を託すかで悩むのは当然です。社長が手塩にかけて育てた会社を嫁入りさせるようなものですから。
まずは、社長の親族の中から会社を託せる適任者を選ぶ方が多いと思います。そして、親族の中に適任者がいなければ、会社の役員・従業員、または社外の第三者など、親族外の第三者の中からお眼鏡にかなう方を探すことになるでしょう。
事業承継の類型は、廃業を除き、誰が継ぐかによって、大きく3つに分類されます。親族を後継者とする類型を親族内承継といい、企業内の役員または従業員等を後継者とする類型を企業内承継、そして社外の第三者を後継者とする類型を第三者承継といいます。
社長が高齢になって、認知症のリスクが高まると、そのリスクは、すべての事業承継の類型に重大な影響を及ぼします。
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