「もう、漏らさないぞ」新便器にご満悦…認知症父が絶句の行動

「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

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築40年、便器の根元から漏水している!

便器はサイズが肝心だ

 

わが家は築40年。一般的に建物のボーダーラインは築20年前後といわれているので(まあ、建築業界の思惑もあると思うが)、この家を人の年齢で例えると後期高齢者の部類になるだろう。そんなことで、ここ数年、あちこちに不具合が生じているのである。

 

先日、トイレに入ったらトイレマットがビシャビシャで、私の足もビシャビシャに。じーじはたまに、リハパンを降ろすのが間に合わずトイレマットを汚してしまうこともあるので、「あ!やられた」と思ってイラッとしていたが、次の日も、また次の日もトイレマットが濡れているではないか。そこで意を決して、トイレマットの臭いを嗅いでみた。

 

「おや?無臭!」

 

トイレの便器を新品に交換することに決めたという。(※写真はイメージです/PIXTA)
トイレの便器を新品に交換することに決めたという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

じーじのせいにした自分を反省しつつ便器の周りを調べてみると、な、なんと便器の根元から漏水しているではないか!

 

そこで、トイレの便器を新品に交換することを決意。なぜ決意かというと、今年の夏、冷蔵庫を買い換えたところ、以前の仕様と異なっていたために、じーじは開け方がわからず大騒ぎになったことがあったからだ。

 

私でさえ、何度も冷凍庫と野菜室を間違えて「ゲッ!またやった」と思っていたぐらいだから、認知星人が混乱してもおかしくはない。本来であれば、新しくなることはうれしいことなのだが、わが家の場合は憂鬱の種となるのだ。

 

じーじに「トイレの便器が壊れたから交換してもいい?」と聞くと、びっくりする発言が!

 

「今の便座は小さいから、2倍ぐらい大きいものにしろ。あと、便器本体から温風が出て、座ると同時に便所全体が暖かくなる暖房機能がついているやつにしろ」

 

便座の大きさが2倍になったら、お尻が便器に落ちるわい!と思いながら、「便座の大きさが2倍?そんな仕様の便器ってあるのかなあ?」と言うと、「そんなことも知らんのか、じゃあ相撲取りはどうやって、う○こをするんだ」とじーじ。

 

たしかにお相撲さんは大きいが、お尻の穴は普通だろう!それより、便座が暖かくなるのは当たり前だが、便器に暖房機能が付いているものなんてあるのか!と思いつつも「調べてみるね」とその場をやり過ごしたが、これだけでは済まなかったのだ。

医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。
2015年、株式会社ケー・アール・プランニング設立。編集プロダクションとして介護・福祉を専門とした雑誌の編集を行う傍ら、接遇マナーインストラクターとして、介護付有料老人ホームやデイサービス等で介護の現場に即した研修を行っている。

著者紹介

連載見つめてひらめく介護のかたち「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

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