利用料金は不動産物件ほど地域性はでない
私は仕事柄地方出張も多く、ホテルに宿泊するケースも多々ありますが、私にとっては、ホテルは寝るだけの滞在になります。多くの場合、仕事が終わり取引先との会食などで、ホテルに戻る時間は深夜になります。そして翌日は、早朝から活動をする関係で、ホテル滞在時間はおそらく8時間もありません。
そんな私の場合、ビジネスホテルさえ持て余す場合があります。今まで、そのようなことはありませんでしたが、目的だけを考えた場合、カプセルホテルや健康ランドのようなものでも十分だと思っています。
つまり、ホテルの場合、同じエリア内にあっても、料金はピンからキリまであり、さらに、用途や利用者の目的別に整理されているので、宿泊者が自分の意思で選択できる環境になっています。
日本人の多くは、帝国ホテルといえばラグジュアリーホテルという認識があり、東横インといえばビジネスホテルという認識を持っているはずです。この2つのホテルを比べ、同じエリア内にあるのに、なんで帝国ホテルは東横インの何倍も宿泊料金が高いのかと文句を言う人はいないでしょう。それは、料金が高い理由の共通認識があるからにほかなりません。当然、料金の高さに納得できない人や価値を見出せない人などは、帝国ホテルに宿泊しないだけのことです。
老人ホームも同じです。同一エリア内にも、帝国ホテルのような老人ホームも東横インのような老人ホームもあります。したがって、予算については不動産物件ほど地域特性は強く働かないということに注意が必要です。
次に、周辺環境を考えていきましょう。駅から近い、遠い、近くにコンビニエンスストアがある、なし、などの環境は、いったいどのくらい重要なのでしょうか? 少なくとも、要介護状態の本人にとっては重要な環境ではありません。これらは、どちらかというと家族側の都合によります。親の面会に自動車で行く家族は駅からの距離はどうでもかまいません。むしろ、道路事情がよいほうがよいと思います。逆に、会社帰りに立ち寄りたい家族にとっては駅から近いほうが都合がよいと思います。
しかし、老人ホームは、なにも要介護高齢者の介護施設という側面だけではありません。中には、自立の高齢者が先のことを考えて入居しているケースもあります。このような場合には、当然、不動産物件と同じ目線で検討することは言うまでもありません。