「手術が好き」ただそれだけだった…。新人外科医:山川が見た、壮絶な医療現場のリアル。※勤務医・月村易人氏の小説『孤独な子ドクター』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、連載していきます。

「執刀医の好みも知っておかないといけない」

僕は手術に入っては必死で手順を記憶し、終了後にノートに書き留めた。

 

「違う、先にこうするんだ」

「前の手術で誰かそんなことをしていたか」

 

しかし、手順をそのままなぞるのは難しかった。手術に入るたびに怒られた。

 

「執刀する先生によっても好みがあるんだ。手術中は執刀医が絶対だから執刀医の好みも知っておかないといけない」

 

長谷川先生はそう教えてくれた。

 

(通常の手順を覚えるだけでも難しいのに、先生ごとに違うなんてどうしたらいいんだ)

 

途方に暮れながらも、なんとか必死に食らいついた。

 

本記事は連載『孤独な子ドクター』を再編集したものです。

 

月村 易人

 

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孤独な子ドクター

孤独な子ドクター

月村 易人

幻冬舎メディアコンサルティング

現役外科医が描く、医療奮闘記。 「手術が好き」ただそれだけだった…。山川悠は、研修期間を終えて東国病院に勤めはじめた1年目の外科医。不慣れな手術室で一人動けず立ち尽くしたり、患者さんに舐められないようコミュニ…

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