コロナ禍、給与収入に不安を覚え、不労所得が手に入る「不動産投資」に興味を抱いた、もしくは実際に始めたという人は少なくありません。しかし、株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部・高山吏司氏は、「日本の不動産投資には夢がない」と述べています。一体なぜなのでしょうか。今回は、オーナーにとって不利な状況が続く、日本の不動産投資事情を紹介します。※本連載は、書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、アメリカ不動産投資について解説します。

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「どうして連帯保証人に請求しないのだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの入居者には連帯保証人をつけていなかったのです。というのも、入居審査の段階では、有名な上場企業に勤務しており身元も収入も安心できたので、連帯保証人をつけなくても大丈夫だと思ったのです。それは私の甘いところだったかもしれません。

 

入居審査時点では無問題だったのに…(画像はイメージです/PIXTA)
入居審査時点では無問題だったのに…(画像はイメージです/PIXTA)

 

ところが、後から分かったのですが、私のアパートに入居してしばらく経った後、その会社を辞めてしまっていたらしいのです。詳しい事情は分かりませんが、そこから収入が
厳しくなって、家賃を滞納してしまったのでしょう。しかし、これはあくまで推測でしか
ありません。なぜなら、管理会社も私も、その入居者に会ったり、電話で話したりといっ
た直接の連絡は、ずっと取れていなかったからです。

 

管理会社の人が何度も足を運んでドアをノックしても、反応がなければどうしようもありません。24時間張り込むわけにもいきませんし、ドアを壊して勝手に入ることもできません。

 

2カ月遅れながら毎月支払ってもらっているので、そのまま様子を見ていて、もし今後また滞納があったら、そのときは出て行ってもらうほかないと思っていたところ、幸いその入居者から退去の申し出がありました。あとは滞納分をどう払ってもらうかの交渉を残すだけとなり、ほっとしています。

入居者を「強制退去」させるには?

しかし、「出て行ってもらう」と口で言うのは簡単ですが、実行するのは非常に大変です。まず、強制退去をさせるには、裁判所の判決が必要です。ところが、裁判所への訴えができるのは、一般的には3カ月の家賃滞納があってからということになっています。滞納が1カ月や2カ月の段階でも訴えることはできるのですが、それくらいの滞納期間の場合、強制退去は認められないのが普通です。

 

そこで、3カ月の滞納があり、その間、(連絡がつけば)十分な話し合いや督促をして、それでも払ってもらえなければ、初めて明け渡し請求訴訟を起こすことになります。明け渡し命令が裁判所から出されれば、入居者は自主的に退去するか、強制執行で出て行ってもらうことになりますが、いずれにしても時間がかかります。だいたい、提訴から強制執
行ができるようになるまで6カ月程度かかります。

 

つまり、滞納が始まってから9カ月です。その後、強制退去となれば後始末も必要です。そういったもろもろを含めると、完全に元に戻すためには、1年近くの時間が必要です。さらに、弁護士費用、強制退去後の片付け費用など数十万円のお金が必要です。

 

それは入居者に請求できますが、もともとお金がなくて家賃を滞納する人ですから、請求しても支払ってもらえる可能性はほぼなく、オーナーの持ち出しとなります。賃料が払ってもらえない上にさらに持ち出し……、「泣きっ面に蜂」とは、まさにこのことではないでしょうか。しかし、これが日本における、賃貸物件オーナーの現状なのです。

 

 

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部
高山吏司氏

 

 

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[改訂版]日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

[改訂版]日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

「アメリカ不動産投資」といえば、 一昔前までは、超富裕層が趣味と実益を兼ねて別荘を購入したり、 駐在員や大使館職員が現地に自宅を構えたりするのが主流でした。 しかし、時代は変わり、普通に日本にいながら、日本語だ…

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