経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

「定期借家契約」を利用するケースが増えている

家賃滞納よりもさらに厄介なのは、周りの入居者に迷惑をかける不良入居者だ。

 

夜中に大きな奇声を上げる人やごみ捨てマナーが悪い人、さらに汚物を集合ポストに入れる人などさまざまだ。そんな「変な」不良入居者については別の項で紹介するが、とにかく世の中には想像できないような行動を取る人はいる。そんな人との解約は結構面倒で、当事者とやり取りしている間に、他の優良な入居者が退去してしまうこともある。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

こうした賃貸借契約で、家主が圧倒的に不利な状況になることを回避するため、「定期借家契約」を利用するケースが増えている。

 

賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」がある。賃貸借契約の大半は普通借家契約で、2000年に「定期借家制度」が始まったが、定期借家契約の利用はまだ一部にとどまる。

 

定期借家契約の最大の特徴は、「契約期間が満了したら更新はしない」ことだ。そのため、問題がある不良入居者との契約を契約期間満了をもって終了することができる一方、優良入居者については、再契約という形で住み続けてもらえるので、本来であればもっと利用が多くても不思議ではない。

 

あまり普及しないのは、普通借家契約に慣れている不動産会社が、新しい手続き方法を覚えるのを面倒と感じたり、入居者に説明して理解を得られない可能性もあったり、解約通知のルールが普通借家契約とは異なるなど、積極的に導入したいと考える不動産会社が少ないためだ。

 

なお、定期借家契約の場合、「契約期間満了の通知」は1年未満の期間では不要だが、1年以上の場合は契約期間満了の1年前から6カ月前までに送らなくてはいけない。その点が、大半の不動産会社に業務が煩雑になると敬遠されている理由の一つでもある。家主側が、定期借家契約のメリットとデメリットをきちんと理解し、不動産会社に働きかけていくことが重要だろう。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

 

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    永井 ゆかり

    プレジデント社

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