「裁判だー!」認知症父が電話で軽度認知障害の実弟と大ゲンカ

「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

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軽度認知障害の弟と認知症父が電話バトル

40年前の話でバトル?

 

それは、じーじの弟からの電話で始まった。最初は穏やかに話していたものの、途中から雲行きが怪しくなった。

 

「あなたの言っていることはおかしいですよ。もう一度よく思い出されたらいかがですか?」と、どんどん敬語になってきた。じーじは、怒り始めると口調が敬語になる(余談だが、私も頭にくると、敬語になるから血は争えない)。

 

しだいに、「あなた」が「あーた」になり、ついには「きさま」に、もう完全にケンカモードに突入。

 

じーじは、怒り始めると口調が敬語になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
じーじは、怒り始めると口調が敬語になるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

じーじは耳が遠いので、声もデカい。ご近所を驚かせてもいけないので、窓を閉め。隣の部屋で、聞き耳を立てて傍観者となってみた。

 

どうやら、40年前にじーじの弟が土地を購入した時の話をしているらしい。さらに耳を澄ましてよく聞いていると、なんと! その際に、隣の家の人とちょっともめた件を、今! まさに起きていることのように話をしているではないか。じーじの声はますます大きくなり、どんどん、ヒートアップ。

 

「申し訳ないが、私の言っていることは何一つ間違っていない。そんな大切なことも忘れてしまったのかぁ~。兄である私を侮辱するのかぁ~」ついには「あーた(あなたと言っているらしい)とは裁判で決着をつけよう。次に会うのは、裁判所だな」と言って電話を切ったじーじ。

 

明日のスポーツ新聞の見出しは「認知星人VS軽度認知障害*(じーじの弟)。40年前の話でバトル!」だな、なんて面白がっている場合じゃない。まだ、怒りが治まらないじーじは、電話機の前で身体をプルプルさせて「裁判だ」とつぶやいている。このままだと、確実に次の攻撃先は私になる!と思い、じーじの安定剤であるビールに、大好物の冷奴を献上。

 

「湿気が多い日は、冷奴がうまい!」と言いながら、ニコニコしながら食べているのであった。めでたし、めでたし。

 

軽度認知障害(MCI)
認知症の一歩手前と言われる状態。物忘れなどの記憶障害があるが症状はまだ軽く、認知症ではないため自立した生活ができる。

 

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医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。
2015年、株式会社ケー・アール・プランニング設立。編集プロダクションとして介護・福祉を専門とした雑誌の編集を行う傍ら、接遇マナーインストラクターとして、介護付有料老人ホームやデイサービス等で介護の現場に即した研修を行っている。

著者紹介

連載見つめてひらめく介護のかたち「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌

黒川 玲子

海竜社

わけのわからない行動や言葉を発する前に必ず、じーっと一点を見据えていることを発見! その姿は、どこか遠い星と交信しているように見えた。その日以来私は、認知症の周辺症状が現れた時のじーじを 「認知症のスイッチが入っ…

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