医療法人化のメリットを巧みに使いこなす、淑子さん
医療法人を設立したばかりの大竹淑子(仮名)さんに、私がまずお伝えしたことは、〝日本のお金のしくみ〟です。
法人を立ち上げたということは、法律上ではひとつの人格をもった「法人さん」が新しく生まれてきたのと同じことです。
今までは個人開業でしたので、クリニックの収入=大竹家の収入でした。自分たちのお金ですから、「個人の財布」からお金を出し入れする感覚で、自由に使うことができました。しかし、法人化すると、稼いだお金はクリニックのものです。今度は、「クリニックの財布」から、報酬という形で、ご自分たちのお給料をもらうことになります。
このように書くと、「これまで自由にお金を使うことができたのに、何だか急に窮屈になったみたい」と感じるかもしれません。でも実は、法人化することには個人開業ではできない、たくさんのメリットがあるのです。
では、どのようにお金のしくみを捉えたら法人にしたメリットを使いこなすことができるのか、私は図やおはじきなどを使って、淑子さんに繰り返し説明をしていきました。