反社が入居していたり、過去に殺人事件があったり…
収益物件は高額な投資商品です。高額であればあるほど、そこには万が一のリスクが内在します。なかでも最も大きなリスクは、物件について「わからない」ということから生まれます。
例えば、反社会的な組織の関係者が入居していたり、そのような事務所が隣接していたり、過去に殺人事件があったり、入居者が架空のもので取得後大部分が一斉に退去してしまったり、とんでもない滞納者がいたり・・・という可能性があるのです。これらは過去に筆者の会社で管理を請け負った物件で実際にあった事例です。
こうしたことが「わからない」ままで買うことは怖いことです。たとえ購入前に想定利回りや返済計画などを緻密にシミュレーションしたとしても、「わからなかった」大きな盲点が原因となって、予定していた収支計画が根本から狂ってしまうこともあるからです。
中古の収益物件は、原則として購入する際に一部屋一部屋の中まで見ることができません。ですから、物件の入居者や周辺環境までしっかりと情報を持っている不動産会社から買う必要があるのです。重要なのは、物件を紹介してくれる不動産会社と、その物件および売り主との関係です。
売り主から「直接」売却の依頼を受けている会社か?
あなたに物件を紹介してくれる不動産会社が下記図表の①のように、直接売り主から売却の依頼を受けている関係であれば、物件の詳細まで確認できる可能性が高くなります。
さらに業者Aが管理まで請け負っている場合は、物件の内容をほぼ理解していると考えていいでしょう。なぜなら、管理をしているということは、毎月の賃料回収から入居者の対応を行っているので滞納者や入居者の属性を把握できるからです。
逆に②、③の場合は注意が必要です。特に業者Aと業者Bの間に面識や取引関係がない③のような場合は、物件の情報が業者Bに伝わっていないケースが多いのです。なぜならAの立場は売り主がお客様であり、物件を売ることが目的になるので、都合の悪い情報は出さないことがあるからです。
ですから、物件を紹介してくれる会社がどこまで物件のことを理解しているかが重要です。さらにいえば、業者が事実を知っていたとしても買い主に正直に伝えるかどうかは別の問題です。極論すれば、結局のところその会社(担当者)が信頼に値するかという点に行き着きます。繰り返しになりますが、物件選びは会社(人)選びなのです。
「利益を最大化できるか」が物件選びの基準に
物件を選ぶにあたっては利益最大化という視点を外さないことが基本です。繰り返しになりますが、収益物件の活用における利益は以下のとおりです。
利益=【売却金額-取得金額+収入-支出】
収益物件はあくまでもオーナー社長自身および会社を守るためのツールとして活用すべきものです。そのためには、このツールを用いて利益を最大化する必要があります。
一方で、収益物件は不動産です。不動産を買う際には、新しくてきれいなものが良いとか、おしゃれな建物が良いとか、港区にある物件が良いなどという買い主の主観的な評価も入るものです。しかし、収益物件は自分が住みたいかどうかよりも利益を最大化できるかどうかで判断するものです。このポイントを外してしまうと、成功する物件選びができなくなってしまいます。
「自分が住みたいかどうか」は関係ない
自宅は極論すれば自己満足の世界ですから、いくらお金をかけて自分の好みの場所に好みの建物を建てても何の問題もありません。一方、不動産投資はあくまで採算です。
例えば家賃5万円のアパートを対象としたときに、自分の感覚だけでは絶対に良し悪しはわかりません。自分から見ればボロボロに思えるようなアパートにも一定の需要があることが想像できないのです。
生活レベルに応じて人が求めるものは違います。年収1億円のオーナー社長と学生では生活環境が違うのです。自分が住みたいかどうかではなく、きちんと利益が出るかどうかという基準で物件を選ぶ必要があります。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】