恐ろしい「空き家」問題…淑子さんの最終決断は?
今、日本では人口が減っていて、両親が住んでいた家が空き家になってしまい、その処分に困る方たちが急速に増えています。人々の暮らし方も多様化し、自宅が〝遺して喜ばれる財産〟ではなくなってしまった気がいたします。
私自身も女2人の姉妹で、横浜で空き家になってしまった実家を抱え、とても悩んでいます。それは「想い」がいっぱい詰まっているから、余計にそう思うのです。生まれ育った生家は、祖父母の思い出、亡くなった父の思い出があり、家を大切にしてきた先祖の気持ちを考えると、合理的に割り切ることはできません。母は老人ホームに入ったとはいえ、まだ生きている以上、売却するという決断はどうしてもできずにいます。
しかし空き家にしていては不用心ですし、伸びてくる庭木の枝が邪魔になったり、台風や地震で瓦が落ちてご近所に迷惑をかけないかも心配です。仏壇も置いたままなので、何とかしなければなりません。実はいつもいつも気がかりなのです。
こうした自宅の空き家化問題に対して、淑子さんが出した答えは、売却してしまうことでした。淑子さんご自身もご高齢になり、若い頃のようには動けない中、離れた地域で療養されていらっしゃるご主人のもとに通いやすい便利なマンションに、ご自宅を売却して居を移されました。
ご自宅は、事前に淑子さんに贈与してありました。「配偶者への贈与の特例」を使い、2110万円分は非課税でした。そのため、ご自宅を売却してもご夫婦それぞれが3000万円まで非課税になります。
お子様たちもすでに各自のご自宅をお持ちで、住むことはないだろうと決断されたのですが、長年住まわれた思い出のご自宅を売却するという決断は、さぞ勇気が必要だったと思います。
それは、淑子さんの「子どもたちに負担を遺したくない」という一心からの決断で、母の愛情の深さだと、ただただ感服しております。
淑子さんは、生命保険だけでなく各種特例までも自在に使うことができるようになります。今は、他の不動産も整理することをお考えのようです。
ご主人様は病床にありながら、潔い奥様の行動力に驚いておられます。いつもくよくよせず、何事にもとらわれず、現状を受け入れながら限界突破していく奥様の頼もしさに、どれだけ救われていらっしゃることでしょう。