危機一髪!「女のカン」でまさかの事態が判明し…
①保険を法人に売却し、現金を確保
まず、法人にしたメリットのひとつとして、個人開業医のときにご加入済みの生命保険や、医業用の財産を、法人に売却するという方法をとりました。生命保険や医業用財産を売った代金として、ご夫婦のもとには現金が入ってきます。自分が設立した「法人さん」でも別人格ですから、このような資産の売買ができるのです。
そうしておいて、規定をつくりました。もしも理事長に何かあったとき、下りてくる保険金を理事長ご自身や奥様が受け取れるようにするためです。淑子さんは、ご主人とよく打ち合わせをされ、きちんとした規定を作成されました。
②タイミングを見て保険を解約し、息子さんの退職金に
淑子さんは、大学病院から一時的に戻って診療されていた息子さんが、再びクリニックから大学病院に戻られるタイミングで生命保険を解約し、そのお金で息子さんに十分な退職金を支払ってあげることができました。
③保険を理事長に現物支給し、万が一のときに備える
そればかりではありません。お金のしくみを理解してコントロールできるようになった淑子さんは、理事長であるご主人がご勇退を決断された際にも、上手に保険を活用されました。
退職金の財源として貯めていた生命保険を、今度は現金化せずに、名義を変更することで理事長に現物支給したのです。
これには私自身もビックリしたのですが、長年連れ添った奥様の勘は当たるものです。理事長はご勇退されてしばらくした冬に、脳梗塞を患われました。このとき、解約せずに現物でおもちだった保険の保障が残っていたため、安心して闘病生活を送ることができました。