25万円かかっていた住居費がなんと…
自宅に住み続けられるようになった丸太さんの奥さんはその後、収入源である喫茶店の経営に励んでいます。以前はやっていなかったモーニングサービスを始めるなど、売上の増額に努めており、家計をどうにか賄えるようになりました。以前は25万円かかっていた住居費が7万円に下がったため、喫茶店の売上が少し伸びれば、生活していけるようになったのです。
売却にあたって諸経費などのコストがかかったこともあり、最終的に500万円ほどの債務が残りましたが、金融機関との交渉で「支払える範囲でかまわない」という合意が得られたため、残債については月々5000円程度返済しているだけです。
「家をなくしたら路頭に迷うところでした」。丸太さんの奥さんはしみじみ振り返っています。
喫茶店は自宅の一部なので、もし競売になっていれば、住む家を失うだけでなく収入源までなくなってしまいます。60歳近い年齢を考えると、就ける仕事はあまり多くありません。夫の介護と掛け持ちでは、採用自体も難しいでしょう。任意売却に成功したからこそ、丸太さんの奥さんは生活を立て直すことができたのです。
定期賃貸借契約が期限を迎えたら、家を明け渡すことになるかもしれませんが、今のところAさんの息子に結婚の予定はないそうです。2年ごとの契約を何度か更新するうちには、丸太さんの奥さんも年金をもらえる年齢に達します。さらには2人いる息子たちも経済的に安定し、助けてもらえるようになるのではと期待しています。