丸太さんの家の売値決定…。その価格とは?
競売とは異なり、任意売却は必ず成功するとは限りません。最大の障壁となるのは「ノー」という権限を持っている金融機関です。
基本的には競売よりメリットが大きいはずの金融機関ですが、売却価格が低くなれば回収できる額が少なくなるため抵当権の解消に応じてくれません。したがって「いくらで売るのか」が任意売却での大きなポイントとなります。
通常は不動産鑑定士などが査定を行い、妥当な金額を算出します。もっとも参考にされるのは近隣の取引事例ですが、丸太さん宅の場合にはあまり土地取引がなされないエリアだったので、参考にできる事例がほとんどありませんでした。
そこで路線価などその他の基準から割り出したところ、市場価格は3500万円程度となりました。通常はこの価格で買い主を探します。市場価格より極端に低いと債権者である金融機関が同意してくれません。また債務者にとっても価格が低くなると残債が大きくなるため不利というのが一般的な考え方です。
しかしながら丸太さんのケースで筆者がつけた売出価格は3000万円でした。詳しい理由は後で解説しますが、高値をつけると「住み続けたい」という希望を叶えることが難しいため、市場価格より500万円も低い値段をつけたのです。
幸い、金融機関の同意も得られたので、この価格で買い主を探すこととなりました。