※本記事は、書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

3000万円で買ったのはなんと、近所の人だった

買い手を探す中で私が条件としたのは「丸太さんの奥さんをそのまま住まわせてくれる人」を見つけることでした。

 

 

売出価格を市場価格より安い価格に設定できたため、買い主候補は多数見つけることができます。そんな中、「ぜひ買いたい」と手を挙げてくれたのは、丸太さん宅の近所に住む資産家のAさんでした。もともと丸太さん宅の立地に魅力を感じていたAさんは、「息子が結婚したら住まわせたい」という理由で購入を申し出てくれたのです。

 

そこで私が出したのは「息子さんが結婚するまでは、丸太さんの奥さんをそのまま住まわせてほしい」という条件でした。Aさんが承諾してくれたため、丸太さんとは賃貸借契約を結ぶこととなりました。丸太さんが所有していた物件は購入したAさんのものになりますが、Aさんがその家を丸太さんに貸すという形をとることで、丸太さんの奥さんはそのまま居住し続けられることになったのです。

 

一般的な賃貸借契約を結ぶと、Aさんの息子が結婚してその家に住みたいとなった際、丸太さんの奥さんに退去してもらうのが難しくなるので、2年という期限を定めた定期賃貸借契約を結ぶことにしました。2年後にまだAさんの息子が独身であれば、再度賃貸借契約を延長することもできます。

 

家賃は7万円と定めました。一般的に賃貸物件の利回りは10%程度が目安です。つまり3000万円を投資した物件であれば、年間300万円の家賃収入が目標となります。月額にすると25万円ですから、丸太さんが支払えなくなったローンの返済とほとんど同額です。そんな高額の家賃を支払うのは不可能なので、Aさんには一般的な家賃より大幅に低い7万円で納得してもらったのです。

 

Aさんにとっては、「気に入っていた場所に家を買えた」「市場価格3500万円の物件第を3000万円で購入できた」「2年で出て行ってもらえる定期賃貸借契約を結べた」などの利点がありました。そのため相場よりかなり低い家賃で承諾してもらえたのです。

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住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

夢のマイホームを購入する際、多くの人が利用する住宅ローン。ローンを組む際は、通常、専門家のアドバイスを受けながら無理のない返済計画を立てますが、長い返済期間では何が起こるかわかりません。思わぬトラブルによって返…

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