ある日突然、「老人ホーム探し」は始まる
多くのケースでは病院から退院勧告が出され、「時間がない」という状況で老人ホームを探し始めます。これが実態です。このような探し方で失敗しない老人ホームの探し方などあるはずもありません。これでは、「何でもいいから入れるホームがあればいい」という気持ちになってしまいます。
ちなみに、事情に詳しくない方のために補足します。細かい説明は省きますが、今の病院は、おおむね患者の疾患によって入院日数が決まっています。たとえば、この疾患の治療ではY日間の入院が必要、この怪我でこのような治療をした場合はZ日間の入院が必要と定められているのです。そして、この期間は想像以上に厳密に運用されているため、強制的に退院をさせられるケースもあります。
だから、「いつまでに退院です」。と言われ、自宅に戻れない高齢者は、老人ホームなどの介護施設を探して入居しなければならなくなるのです。
話を介護に戻します。それまで元気で何不自由なく生活をしていた高齢者が、ふとした原因で要介護状態になってしまうことは、けして珍しいことではありません。むしろ高齢者が入院した場合には、要介護状態になって戻ってくると覚悟したほうが良いと思います。
考えてみてください。数週間ベッド上で寝たり起きたりの生活をしていたら、私たちでもしばらくの間、歩きにくくなったり、頭がボーッとしたりすると思います。ましてや高齢者です。長い間、寝込んだら元に戻ることは難しいと考えるべきなのです。
そのような事情で、Aさんらは1週間ぐらいの間に老人ホームを探さなければならないのです。
老人ホームの正しい探し方とは
老人ホームの「選び方」ではなく、「探し方」についてお話をしていきます。ちなみに「選び方」というのは、基礎知識を備え、事前準備が十分にできている状態で動くことを指すと私は思っています。したがって、ここでは「探し方」になります。
Bさんらが、Aさんを自分の自宅で面倒を見ることは不可能です。したがって結論は、とにかくAさんを受け入れてくれる老人ホームを探すということになります。
まず、はじめに予算と場所を決めなければなりません。急いで二人で年金がいくら、預貯金がいくら、その他の財産はどれくらいかとAさんの資産を洗い出します。Aさんの経済事情を把握した上で、今度は場所を決めます。2人で協議をした結果、主たる介護者はどうしてもBさんになるので、Bさんの都合の良いところでいいのではということになりました。