認知症入居者の徘徊で被害続出…介護職員は四面楚歌で呆然

どうやって老人ホームを選んだらいいのか? それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者は断言します。そこで著者は、数々の入居者のエピソードを通して、ホームでの暮らしの悲喜こもごもを紹介。現在、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営する著者が、実は知らない老人ホームの真実を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『老人ホーム リアルな暮らし』(祥伝社新書)の抜粋原稿です。

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徘徊は決まった「時間、入居者、コース」で始まる

リアルに疑似体験─老人ホームの24時間

 

入居者や家族は、老人ホームの日常をぜひ理解してほしい。これから書くことが実態であり、これが真実です。ここでは、介護付き有料老人ホームの一日を、時間軸で説明していきたいと思います。提供されるサービスの手厚さと利用料金は、比例しています。料金によっては、ここで記載されていることをしてもらえないホーム、逆に、さらに手厚くしてもらえるホームがあるということに、留意してください。

 

夜勤帯のもう一つの顔

 

老人ホームの夜勤帯の、もう一つの顔。それは認知症入居者による徘徊です。

 

徘徊は、決まった時間に決まった入居者、決まったコースで始まるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
徘徊は、決まった時間に決まった入居者、決まったコースで始まるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

多くの場合、徘徊は、決まった時間に決まった入居者、決まったコースで始まります。職員同士で時計を見ながら、「そろそろAさんが動き出す頃だ」とか「今日は、Bさんの徘徊開始が遅いね。いつもは、徘徊が始まる頃なんだけど」という感じです。つまり、徘徊も老人ホームの日常の一コマなのです。

 

徘徊で、職員が一番困ることは、他の入居者に迷惑が及ぶことです。徘徊の途中に他の入居者の居室に侵入してしまうとか、徘徊を始める前に大声で騒ぐとかです。なぜなら、深夜、静まり返っているホーム内では、居室のドアの開け閉めの音も異様に大きく聞こえるからです。「隣りの入居者が夜間に居室を出たり入ったりして、ドアの開け閉めがうるさくて眠れない」とか「ドアの鍵を掛けておかないと、徘徊者が勝手に入ってきて怖い」とか「ドアに鍵を掛けて寝ているが、徘徊者が鍵の掛かっているドアを開けようとしてガチャガチャとうるさい」などなど、徘徊に対する苦情は後を絶ちません。さらに、徘徊者が歩いている途中に転倒するとか、テーブルの上に置いてある植木を食べてしまったとか、とにかく、目を離せません。

 

そして、その苦情の矛先は、当事者ではなくホームに向けられるのが普通です。ホームの入居者に対する管理体制が甘いとか、仕事の仕方が悪いとか、とにかく苦情はホームに来るのです。ホームとしても、徘徊者の家族に対し、苦情の実態は伝えるのですが、それを聞いたところで家族としては、どうすることもできません。むしろ家族としては、このような徘徊があったから、自宅ではなく老人ホームでの生活を選択したのだから、ホームで何とかしてください、と言ってきます。まさに、四面楚歌です。

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載実は知らない老人ホームの真実

誰も書かなかった老人ホーム

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小嶋 勝利

祥伝社新書

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老人ホーム リアルな暮らし

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祥伝社新書

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もはや老人はいらない!

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小嶋 勝利

ビジネス社

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