入所者ターゲットを明確にリフォームする
1棟目に購入したのは、岐阜県にある重量鉄骨造のアパートで、全11戸のうち入居は2戸のみ。不動産会社を数社回って、なぜ空室が多いのか聞いてみると、不動産会社の営業マンは、部屋をリフォームしていないことを原因に挙げたという。そこで、購入後、すぐにリフォームを実施した。
重要なのはリフォームを行った後だ。室内の様子や、新しくした設備を撮影した写真と解説を掲載した広告資料を自身で作成し、地元の不動産会社を回った。募集する部屋の詳細がわかると、営業担当者は安心して内見に案内できるのだそうだ。努力の甲斐あって、半年後に空室9戸の入居者が決まり、満室になったという。
岩手県を中心に271戸の賃貸住宅を所有する小笠原淳さんも、空室だらけのアパートを安く購入し、コストパフォーマンスの高い内装リフォームにより満室にして高利回りを上げている。利回り20〜30%台半ばの収益不動産を購入し運営しているというから驚きだ。
サラリーマン時代に長年営業を務めていた小笠原さんは、持ち前のフットワークの良さを生かし、不動産会社に人気がない理由を聞くのはもちろん、時には入居対象者にも、どのようなアパートを求めているかを直接ヒアリングしている。その情報をベースに入居者ターゲットを想定してリフォーム案を考える。
例えば、築36年で8畳一間、全18戸中12戸が空室という難物件を購入した。そのアパートは、学生が多く住むエリアにあったことから、大学生協の不動産部に足を運び、学生たちにどのような賃貸住宅だったら住みたいかと聞いてみた。
すると「家賃が安すぎると、何か理由があるんじゃないか不安になる」とか、「妥当な家賃の額は、3万5000円くらいかな」などという話を聞けたという。購入したアパートの家賃は、築年数が古いということもあって2万2000円だった。
そこで、室内を1戸当たり20万円ほどかけてリフォームし、床や壁には若者ウケしそうなデザインを取り入れ、家賃を3万5000〜3万8000円に値上げして募集したところ満室になり、その結果、利回りも36%まで上昇したという。元の家賃でも20%と高い満室時利回りが想定できたが、付加価値を高めることによって、より高い利回りを得ることに成功している。
「入居者ターゲットは誰なのかを明確にして、そのターゲットが好むような内装に仕上げることがポイント」と小笠原さんは話す。ターゲットが学生の場合は少し派手なカラーを採用し、ファミリーの場合は落ち着いたカラーを採用しているという。
永井ゆかり
「家主と地主」編集長
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