ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

いきなり「なにかいいアイデアない?」と聞いてくる

そもそもウェブマーケティングで何がしたいのか明確でない

 

ウェブマーケティングについて勘違いしていたり、思い込みが激しい人がいる一方で、逆になんのプランもなしにやっていて、この人は何をしたいのだろうと疑問に思うときがあります。

 

問い合わせがあって訪問すると「うまくいってないんだけれど、なにかいいアイデアない?」と聞かれたりします。

 

そもそもウェブマーケティングで何がしたいのか明確でない会社が多い。(※写真はイメージです/PIXTA)
そもそもウェブマーケティングで何がしたいのか明確でない会社が多い。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

こういう会社は、契約先を替えては相手が勧めてきた通りに広告を出してみて、どうもうまくいかないからまた次を探すということを繰り返しています。

 

ウェブマーケティングでどんなことができるのですかとか、今ここが困っているから改善できませんかと聞くのなら話は分かります。しかし、ただざっくりと「何かない?」では答えようがありません。

 

それでもなんとかしようとして、今の経営状態はどうですか、売りたい商品はなんですかと質問してくるのは良心的な会社です。普通は面倒なので適当に選んだリスティング広告やランディングページ制作のプランを説明し、費用はこうですがいかがでしょうとお座なりな提案をすることになります。事前に検証もせず、仮説も立てずにただやってみるだけですから、ターゲットにヒットして売上が伸びるとはとても思えません。

 

例えば病院に行って、自分の悪いところを説明する前に「先生はどんな治療ができますか?」と聞く患者はいません。お医者さんも、まずあなたの症状を話してくださいと聞いてくるはずです。どうしてほしいかよく分からないけど、とりあえずこういう薬があるから試してみる?と言って処方されたら、普通の神経では怖くてとても服用できません。

 

それと同じようなことが起きていると考えれば、いかに奇妙な状況かが理解できます。

 

マーケティングのリテラシーが低いクライアント

 

情報を出さない、あるいはもともと持っていないクライアントはマーケティング戦略などには興味がなく、予算の範囲に収めることしか頭にありません。そして安く済む広告代理店や制作会社を選んでしまいます。しかし、手数料を下げて仕事を受ける代理店は実際にはほとんど何もしてくれないので、また別の会社に「うまくいってないんだけれど、いいアイデアない?」と聞いて回ることになります。

 

身体の状態を知るには、問診のほかに体温や脈拍数、呼吸数、血圧というバイタルサイン、血液や尿などを検査した数値が参考になります。企業経営の場合はこれにあたるのが売上高や利益額などの経営指標、販売実績や経費などの情報です。こうした情報がなくては治療計画を立てられません。

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増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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