ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。

ウェブマーケター不足が深刻化する業界の課題

近年、ネット広告の出稿額は増えているのですが、それに伴いウェブマーケター不足が深刻化しています。市場の規模に対して、対応可能なウェブマーケティング経験者が圧倒的に不足している状態が続いています。そのため、インターネット広告代理店は、「残業が多い」「ブラックだ」と言われることもあります。案件数に対して、圧倒的にリソースが足りていない状況なのです。なぜこのような状況の陥っているのか。

 

大手総合広告代理店を始め、インターネット広告代理店、ウェブ制作会社など軒並み積極的にウェブマーケターの採用を強化していますが、経験者ばかりを採用しようとしている状況です。市場に出回っている数少ないウェブマーケティングの実務経験者を取り合っている状態となります。各社がウェブマーケターの育成を怠っているため、なかなか市場に人材が増えず、限られたスキルのある人たちを取り合ってしまうのです。こんな状態が続いてしまうと、慢性的な人材不足の課題は解決されません。

 

現在、WEBマーケティング経験者が圧倒的に不足している状態が続いているという。(※写真はイメージです/PIXTA)
現在、WEBマーケティング経験者が圧倒的に不足している状態が続いているという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

育成ができない理由としては、各社にしっかりとしたウェブマーケティングの技術責任者がいないことが要因の1つ。運用のノウハウや品質、クオリティを担保する責任者が不在、明確ではないことがウェブマーケターの育成が進まない理由ではないか考えられます。ウェブマーケティングの会社の退職者の退職理由を見てみると、ちゃんとした教育体制が整っておらず、スキルが身に付かないという理由をよくみかけます。

 

また、もう1つの理由としては、運用のスキルのある運用担当ほど、転職したり、退職して起業・独立したりして、優秀な担当が定着しないため、後進の育成がなかなか進まないのではないでしょうか。現場の担当レベルではなく、代表や役員クラスの中心メンバーが技術責任者として運用担当の教育を行わないと、後進の育成は難しいと考えられます。また自社のノウハウを体系化し、教育する体制を整えていないと安定して人材の育成を行うことができないのではないでしょうか。

育成が進むのはエンジニアだけという現実

学校教育でプログラミングが始まり、エンジニアの注目度は高く、エンジニアを育てるスクール、専門学校、大学はたくさんあり、SESと呼ばれるエンジニアを派遣するサービスを提供する会社も世の中にはたくさん存在しています。それに比べて、ウェブマーケターは専門的な知識を学べる専門学校や大学はほぼ皆無に近く、最近ようやく社会人向けのウェブマーケター育成サービスが登場してきたくらいで、圧倒的にエンジニアと比べると学べる場所が少ない状況です。

 

さらにSESのウェブマーケティング版のような会社も少なく、ウェブマーケターを専門とする人材紹介がある程度です。ウェブマーケターの人材紹介会社も、既存でスキルのある人、経験のある人を紹介するだけなので、ウェブマーケターの人材を育成し、増やすことができるわけではありません。エンジニアと同じくらいウェブマーケターという職種が世の中的にもっと注目されるようにならない限り、なかなか現状を変えることは難しいかもしれません。

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増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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