ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

ターゲットがあいまいなまま商品を開発、販売する

ターゲットがあいまいなままで売ろうとする

 

これからウェブで売ろうと考えている製品について、とにかく熱心に説明してくれる会社があります。

 

「この製品はこんなことができるんです。どうです、絶対売れますよ」の一点張りです。マーケティングの視点からすると、こういう会社は自社商品のターゲット分析が足りていません。どんな人がその製品を欲しがるのか、想定したユーザーに製品の存在を知ってもらえるプロモーションをいかに展開するか。そこを考えていかなければ、たとえいいものであってもなかなか売れていきません。

 

先に市場調査をしてから、その結果を分析して開発をスタートさせるニーズ先行型の製品であれば、もともとターゲットは織り込み済みです。しかし自社の技術や強みを生かしたシーズ先行型の商品開発だと、誰がそれを使うのかを置き去りにしたまま性能や機能を充実させることだけにこだわってしまうケースがままあります。

 

クライアントと打ち合わせをしていると、新製品だけでなく既存の商品でもその顧客像がつかめていなかったりします。ところがなんとなく若い女性が買っているだろうと想像していたのが、ウェブプロモーションを始めてもっと上の年齢層や男性にもアプローチしてみたら購入につながったという結果が出て、クライアントが驚いてしまうことがあります。

 

どういう属性の人たちが自分たちの商品のお得意さんなのかを把握していなかったため、ほかにも戦える場所があるのを見逃してしまっていたのです。統計の数字は嘘をつきませんから、次はこの層に向けて発信すればもっとビジネスが広がるのではないかと期待できます。以前にヒット商品を出していて、そのときの成功体験から抜け出せない会社もこのパターンに入ります。それが売れた時代とは、市場の状況が変わっています。ユーザー像についても常に見直しをしていかなければなりません。アンテナを張って情報を仕入れ続けていけば、もう一度売れるようになる可能性も出てきます。

 

ただ、中小企業でそこまできちんとマーケティングができる会社はなかなかありません。そして自分たちの思いや経験にこだわり過ぎてしまいがちです。こんなところにもお客さんがいますよとアドバイスをしても聞き入れてくれるクライアントは少数派です。

 

誰もが狙うキーワードでは費用対効果が合わせづらい

 

ユーザー層の想定ができたとしても、そこに商品情報を届ける手段が必要です。そのために広告を使いますが、出稿する的を外してしまうと結果はパッとしません。ところがいったんツボにはまると、ウェブマーケティングはびっくりするような反響があります。

 

子供用の健康食品などを販売しているある会社では、始めのうちはリスティング広告で「子供サプリ」「子供健康食品」「キッズサプリ」といったキーワードを設定し、このキーワードで探したときの検索結果の画面に広告を載せていました。

 

しかし健康食品やサプリメントのメーカーをはじめとして、たくさんの会社がこのようなキーワードを設定しています。キーワードは入札制でクリック料金が決まるので、このようにたくさんの人が設定しようとするワードは価格が上がります。この会社もワンクリック当たり数百円かかるようになり、そのわりには反響がなくて費用対効果が合わなくなっていました。

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増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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