絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、子どもの言語力や算数力を育てるために、幼少期のうちにやっておくべきことは何か、解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。


このように「○のつくことば遊び」「しりとり」「手遊び」「ことば階段」などのゲーム性をもった活動をどんどんおこなっていきます。このような友だちとのやり取りをとおして、社会のルールも自然に学んでいくことができます。

 

社会のルールも自然に学んでいくことができる(画像はイメージです/PIXTA)
社会のルールも自然に学んでいくことができる(画像はイメージです/PIXTA)

「数の概念」を理解してもらう必要がある

数の学習は日常生活の周りにおこる事象を合理的にとらえていくためのものであるといわれます。思考は合理性が増すにしたがい、抽象的な概念にまとめられてきます。数字は「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」と物事を個別化し、一定の秩序をもって考えていくための手段として、具体的な事象を抽象的な概念にまとめたものと考えることができます。

 

たとえば、数の概念を身につけることによって、家族の人数とケーキがきちんと一人ずつにいきわたって食べることができるとか、A道よりB道を通った方が駅に近いとか、AよりBの方が大きくて自分には得になるなどと物事を合理的に考えるようになることだと思います。それが、算数を学ぶ喜びの一つかもしれません。

 

また、抽象性という点では、大きな象を数えても「1、2」という数字になります。小さな蟻を数えてもやはり、同じ「1、2」の数字に置き換えることができます。さらに、この数の概念は猫を「1、2、3」と数えても、「3番目の猫」と「3匹の猫」という概念の二面性をもっています。

 

数には、物事を考えるときの汎用性があります。数には順序数、集合数という2つの概念の側面があります(図表1)。

 

[図表1]数概念の二面性


図表1の黒丸は順序数としての数です。白丸は、まとまりとしての集合数です。数を量と
して覚えていくためには、集合数としての数概念を覚えていく必要があります。

 

図表2は数概念を図式化したものです。数概念は、「具体物」と「数詞」と「数字」の3つの関係が結びつく必要があります。

 

[図表2]数概念の関係

たし算、ひき算をマスターするためには…

たとえば、具体物が3つ並んでいるのを見て、「サン」(数詞)と「3」(数字)が、相互に結びつかないと、たし算、ひき算はできるようになりません。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

絶えず動いて落ち着きがない。話すときに視線が合わない。 一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない「気になる子ども」が、全国の幼稚園や保育園で増えている。 本書では、幼稚園の先生た…

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