絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、子どもの言語力や算数力を育てるために、幼少期のうちにやっておくべきことは何か、解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

子どもの言語力を伸ばすためには?

言語力を伸ばす言葉の力を伸ばすために重要な要素は「かるた」や「しりとり」などのことば遊びのなかにあります。このような遊びと、「絵本の読み聞かせ」という教育的活動をとおして、音と文字の対応を学んでいきます。

 

子どもの興味を引くためには、絵と文字のついたカードでの遊びがよいと思います。絵本の読み聞かせは、子どもと1対1でおこなうことが大切で、一斉だと共同注意が続きません。共同注意とは、先生と子どもが同じところを「見る」または「聞く」ことです。お母さんや先生の一人占めが子どもにとっては嬉しいことです。日本には良質な絵本作品が多数あるので、その子が興味ある絵本は必ずあるはずです。

 

数字には興味があって絵本に興味のなかった、ある2歳半のASDの子どもは、教室で偶然に見つけた『アルパカパカパカやってきて』(おおなり修司/文、丸山誠司/絵。絵本館、2014年)という絵本にたいへん興味をもちました。アルパカという生き物とパカパカという歩く響きがその子にとって、とても面白かったようです。家の近くにある自然公園の休暇村にいくと、本物のアルパカが見られました。

 

また、数字にはたいへん興味があったので、数字をウルトラマンに見立てた「数字マン」を書いたカルタをつくり、同じものを当てる神経衰弱をしました。そこで相手と交互にやりあうルールも理解していきました。

 

さらに、音韻を利用した遊びをします。たとえば、文字におはじきを置いていく活動、絵と音声言葉のマッチング、「スイカはどれ?」「メロンはどっち?」などの弁別学習をします。

 

物事の違いや変化がわかる弁別学習は、子どもの言葉を豊かにします。人が「立つ」「座る」「寝る」などの変化の「気づき」につながります。興味があるか、興味が持続するか、継続的に教えられる状態か、観察します。単文字で覚えられないときは、「せみ」→「○み」などの見慣れた文字カードを出して、それから単語の文字を覚えていきます。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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