絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、文字の読み書きでは読むことが流暢にできない、文字を書けばバランスが悪くて上手に書けない、鏡文字になる、算数では数字の概念が理解できない、計算や推論ができないなど、限局的な能力の落ち込みが特徴のSLD(限局性学習症/限局性学習障害)について解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

なぜ、子どもが「勉強嫌い」になってしまうのか

保育園等では、文字や数字を指導する教育課程はありません。遊びの活動が中心ですか
ら、一見するとSLD(限局性学習症/限局性学習障害:文字の読み書きでは読むことが流暢にできない、文字を書けばバランスが悪くて上手に書けない、鏡文字になる、算数では数字の概念が理解できない、計算や推論ができないなどの、限局的な能力の落ち込み)は存在しないように思われます。

 

ただ、幼児教育の段階で文字や数字に対する興味関心は育てる必要があることが『幼稚園教育要領』や『保育所保育指針』に示されています。小学校に入学する段階でほとんどの子どもたちは文字や数字に対する興味関心が育っており、ある程度の文字を読んだり書いたりできるようになっています。

 

言葉や文字、数に対する興味関心がない場合には、小学校に入って初期の段階で勉強に遅れ、ますます勉強嫌いになっていくことが考えられます。

 

言葉や文字、数への興味関心のなさが、勉強嫌いを加速させてしまう(画像はイメージです/PIXTA)
言葉や文字、数への興味関心のなさが、勉強嫌いを加速させてしまう(画像はイメージです/PIXTA)

読み書き障害の見分け方

SLDでない子どもであっても、早い時期から言語能力を伸ばしていくことに、なんら
異論はありません。しかし、SLD予備群の子どもは、幼児期から言葉に対する興味関心
が低い状態でいます。そう考えると、じつは小学校からではなく、幼児教育からの問題で
もあると考えられます。

 

読み書き障害(発達性ディスレクシア:DD)を幼児の段階で見つけるには、次のような症状があるか観察します。


・絵本を聞こうとしない。文字や数に興味を示さない。
→【文字関心】が薄くないか? 

・文字を読むことに関心がない。
→文字や文字らしきものを書きたがらなくはないか? 

・書く事に関心がない

 

② 

・「エレベーター」を「エべレーター」という。
→【音韻意識】が育っているか? 

・単語の発音を含めて正確に言えない。

・自分の名前や、言葉を言いながら、一音一歩ずつ移動する。あるいは、すごろくのコマを動かす遊びができない

 

③ 話し方に流暢性があるか。
→「この、その、あの、どの」など物の名前をはっきりと言えない

 

④聞き返しが多い。
→記憶を瞬間保持するワーキングメモリーが弱い
 

⑤物の名前を覚えにくい。言葉の記憶ができない。
→【聴覚短期記憶】が弱くないか? 
歌の歌詞を覚えることに苦労する。音のイメージが蓄えられない

 

⑥ことば遊びが苦手で、やろうとしない。
→言語面で心理的負担があるか?

 

特に⑥は子どもにプライドの低下や疲労感をもたらすので気をつけることが必要です。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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