絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、子どもの言語力や算数力を育てるために、幼少期のうちにやっておくべきことは何か、解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

 

たし算をするためには、「両方を合わせる」や「だんだんに増える」といった操作概念がわかる必要があります。ひき算をするためには「あるものをひいたら残りはいくつ」「こっちとあっちのどちらが多いか、少ないかの差」を求めるという操作概念を身につけていくことが必要です。

 

子どもが自動車を見て、そらんじるように数えて「サン」と言っても、はたして「3台」として認識しているのか、ただなんとなく言葉のうえで「サン」と言っているのかわかりません。そこで、数を学習していく場合には、指導者側が数の概念を把握したうえで、系統的に遊びや活動のなかに組み入れていくことが大切になってきます。

「発達障害の子どもの学習」において重要なこと

じつは発達障害の子どもは、一度学習したことの認識を変えることがとても難しいのです。そのため、覚えさせるときには、最初からできるだけ正しいことを教えるように心が
けます。

 

子どもの遊びや生活のなかには、数に関する事柄がたくさんあります。思考が混沌(カオス)状態といえます。本人は意識してはいませんが、たとえば鬼ごっこ、かくれんぼ、給食、クラスの友だちの人数、時間割、時計など限りなく、生活のなかで数というものと出会っています。子どもは意識していなくても日常の中で自然と数と出会っているのです。

 

小学生となれば、「算数」という教科がでてきて、数について特化した指導がなされます。そこで数にかかわる世界を理論としてまとめあげていきます。同じ種類の計算や問題を解くときに計算方法や手順を知っていく学習をします。それはアルゴリズムといわれます。小学校から「算数」として系統的にまとめあげ高等数学まで学習していくのです。

 

就学前までには数概念に至る前に子どもたちが出会い、個別化、量感、同等性、保存性などを毎日の日常生活や遊びのなかで素地づくりをします。数の興味関心を育てる素地づくりでは、日常的に数とたくさん出会い、具対物と数詞と数字の関係が一致できるような学習環境の整備が必要です。なかでも手遊び歌は数概念を覚え定着させていくには、たいへん有効であると思われます。それは、1本1本の指と数の個別性、短期記憶、だんだん増えていくという量感が養われるからです。

 

また、数は言葉とも密接に関係します。「多い-少ない」「高い-低い」「長い-短い」
「広い-狭い」「重い-軽い」などの数量を表す言葉と量感覚が結びついてきます。

 

 

※本記事は連載『「気になる子ども」との向き合い方』を再構成したものです。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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