絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも本人の性格や気質の問題なのかわからない子どもが増加しています。今回は、ASD(自閉症スペクトラム障害)の子どもが、泥遊びや土いじり、靴下を履く行為を極端に嫌がる理由について見ていきます。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準

自閉スペクトラム症の診断基準とは?(画像はイメージです/PIXTA)
自閉スペクトラム症の診断基準とは?(画像はイメージです/PIXTA)

 

DSM-5(アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類の最新版)において、自閉症は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(ASD)となりました。その診断基準は[図表]のとおりです。

 

[図表]自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の診断基準

 

これまで自閉症の診断については、1980年にアメリカ精神医学会(APA)は精神疾患の診断マニュアルのDSM‐Ⅲで、自閉症を精神病の一つとし統合失調症とひとまとめとするのではなく、広汎性発達障害(PDD)と呼ぶことにしました。その後も改訂を重ね、名称や症状、原因について検討されてきました。

改善することも…「自閉スペクトラム障害」の特徴

イギリスの精神科医のL・ウィングは、自閉症の主なる特徴は3つの障害「人との相互交渉」「コミュニケーション」「想像力の発達」と「反復活動」にあるとしました。単に自閉性といった場合には、知的障害が併存すると思われていたのですが、知能に遅れのない自閉症がいることで高機能自閉症、アスペルガー症候群などとも呼ばれました。

 

しかし、自閉の度合いに境界線を引くのは難しくスペクトラムと考えるようになり、DSM‐5では自閉症スペクトラム障害(ASD)という言い方となりました。

 

基本的にASDは個人的要因として脳の機能障害があり、一生涯続く障害といえるのですが、環境的要因の調整や社会適応力を高めることにより症状が軽減してくるとの理解が進んできています。

過度な迫害体験が「自閉症」に近い状態をつくりだす

今では、ASDは脳の中枢神経系の記憶を司(つかさど)る「海馬」や感情を司る「扁桃体(へんとうたい)」の障害ではないかという研究者もいます。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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