郊外住宅賃料はバブルから30年間「変化なし」!?
郊外と聞くと、「家賃の下落リスクが高そうだ」というイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。しかし、実際は郊外のほとんどのエリアでは家賃が30年以上変わっていません。
その期間には、バブル崩壊、リーマンショックなどの経済危機が何度か起こり、都心の高額物件ほど賃料が下振れした物件が多かったのですが、郊外の家賃は大きく下落することはありませんでした。そもそも長期で安定した不動産投資を考えるなら、先進性を追求するのではなく、時代遅れにならないオーソドックスな物件を狙ったほうがいいでしょう。
一時期、OYOというインドのグローバル企業が日本の不動産市場に参入して話題になりましたが、今ではほとんど耳にしません。これはOYOが良い・悪いという話ではなく、目新しいものに飛びつく場合、それが一過性のものであるなどのリスクを分散できる余裕が調っている必要があるということです。
民泊にしても、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けていますが、リスクを考慮せず一点に集中していると、取り返しのつかないことになります。現に京都や浅草をはじめとする観光地で民泊をしていた人は、かなり厳しい状況に追い込まれています。これはまさに「時代は繰り返す」の典型例だといえるでしょう。
バブル期にお金を借りて儲けていた人のなかで最も稼いでいたのは、リゾート開発に携わっていた人たちです。二束三文の土地を買ってきてゴルフ場にしたら100倍、200倍になったケースもありました。しかし目先の流行を追って時代の変化にとり残されてしまうと、一気に破綻してしまいました。
住居用の不動産というのは、やはり安定しているといえます。コロナショックの影響で建材や設備が輸入されないという問題や不景気によって家賃滞納の懸念はあるものの、民泊のように稼働率がゼロになるということは考えられません。
そういう意味でも、まずは物件選びが大切です。「需要の安定している王道の投資をする」ということが長期運用で勝つうえで重要といえます。私は不動産業界に30年いますが、先述したように郊外の家賃はほぼ変動がありません。
下記の「消費者物価指数と家賃指数の比較」をご覧ください。消費者物価指数とは、総務省による小売物価統計調査を元に作成される指標で、1946年より調査が開始されて毎月発表されています。
これを見ると郊外が特別というわけでなく、物価も家賃もほぼ横ばいということが分かります。当社が扱うエリアの物件も、1989年に入居した人と最近入居した人の家賃の差は、せいぜい1割程度です。それは世帯年収が30年以上変わっていないからです。年収が変わらないということは払える家賃も変わらないのです。
つまり、30年住んでも家賃は不変だったということであり、安定のために奇抜なことを仕掛ける必要はないのです。郊外型の物件は賃料が下がっていくとは考えづらく、むしろこれまでお伝えしたエリア内のRC物件の希少性、働き方の転換などを理由に、ニーズは高まっていくと予想できます。
ただし、時代の流れのなかでの流行り廃りはあります。例えば間取りの場合、昭和から平成にかけての時代は部屋の数が多く、居間は小さくてもいいという考えが主流でした。昭和から平成の時代においては部屋数よりも広くて充実したリビングが求められていましたが、令和の今、コロナにより、一人一部屋など集中できる環境が必要となり、オンラインでの会議をしても家族に迷惑をかけない間取りや構造が求められるようになってきています。このように、大きな時代の流れやニーズには合わせていく必要があるということです。