手放した末っ子、疎遠となった次男へ…80代老父の懺悔と遺言

高齢となった父親は、乳児のころに養子に出し、事情を知らずに育った三男と、大人になってから疎遠となってしまった次男との関係に、深い後悔の気持ちを抱いていました。そばにいる長男に配慮しつつも、2人に父としての気持ちを伝えるには、どんな手段があるのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

三男が生まれてすぐ、妻は病気で他界

今回の相談者は、80代の関塚さんです。そう遠くない将来発生するであろう、ご自分の相続問題について、子どもたちへの財産の配分に懸念があり、筆者の事務所を訪れたとのことでした。

 

 

関塚さんには3人の息子さんがいます。妻は約40年前、三男が生まれてすぐに病気で亡くなってしまいました。当時、関塚さんは会社員として朝から晩まで忙しく働いており、そのような生活を送っている男性が乳児を含む子ども3人を育てるのは無理だろうと、関塚さん自身も周囲の親族たちも考えました。相談の結果、乳児だった三男は関塚さんの実姉と普通養子縁組をすることになりました。三男は、現在も関塚さんが実父だということを知りません。

 

その後、いろいろと大変なこともありましたが、親族たちの力を借りつつ、関塚さんのもとで長男と次男は無事に成長し、大学も卒業。それぞれ希望していた仕事につき、独立しました。

 

「とにかく当時は仕事と子育てに忙しくて、再婚なんてとても考える余裕はありませんでした。ずっと男所帯でやってきましたが、親きょうだいが近くにいてくれて助かりました。息子たちはきちんと勉強もして就職もして、本当にありがたいと思っています」

 

しかし、懸念していることがあります。次男との関係の断絶です。じつは、次男が就職して2年目に「結婚したい女性がいるから会ってほしい」といって、関塚さんのところに相手を連れて来たことがありました。しかし、関塚さんはどうしてもその女性が気に入らず、理由を並べて結婚を大反対したのだそうです。結果、次男との関係は修復不能なところまで悪化してしまいました。

 

その後、次男は父親に黙って相手の女性と結婚。以後は疎遠となっています。もっとも、長男と次男は交流があるため、関塚さんも連絡先は知っているのですが、電話をしても出てもらえず、話をすることはできないままです。

 

とはいえ、長男との関係は良好です。長男は関塚さんの自宅から車で15分程度の場所に家を建て、妻と2人の子どもと暮らしています。高齢でひとり暮らしの関塚さんを気にかけてくれ、とても感謝しています。

 

「妻が亡くなって、せっかく授かった三男を姉に託すことになり、次男も私の勝手で疎遠になり…。家族がバラバラになってしまったことを悔やんでいます。せめてこれから、子どもたちにできることがあればと思いまして…」

 

関塚さんが筆者の事務所に相談をしようと思ったのは、2つのきっかけがありました。まず、自身が体調を崩したこと。80代になってめっきりと心身の衰えを感じるようになり、自分亡きあとのことを考えるようになったそうです。もう1つは実姉の死です。わが子のように三男をいつくしんで育ててくれた実姉が他界してしまい、相続手続きというものを身近に感じたとのことでした。

 

●相続人関係図

依頼者 :関塚さん(80代、配偶者は故人)
相続人 :長男(近居)、次男(音信不通)、三男(関塚さんの実姉と養子縁組)
資産状況:世田谷区の一戸建て、預貯金、有価証券等、合計1億5000万円程度

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
三男は姉と普通養子縁組を…(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。著書50冊累計38万部、TV・ラジオ102回、新聞・雑誌420回、セミナー500回を数える。近著に『いちばんわかりやすい 相続・贈与の本'18~'19年版』(成美堂出版)、『増補改訂版 図説 大切な人が亡くなったあとの届け出・手続き』(宝島社)ほか多数。

著者紹介

連載相続実務士発!みんなが悩んでいる「相続問題」の実例

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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