もし仮に、3人兄弟のうち、2人に7500万円の財産、残る1人を0円とした場合、もらえなかった1人が遺留分を主張すれば、財産を受け取る2人が遺留分相当の現金を払わなければなりません。
親族間に確執があるなどの理由で「誰々には財産を相続させない」などとし、その旨を明記した遺言書を書いたとしても、遺留分が認められている立場の相続人に対しては、法的な効果はないのです。
また、遺言の際は「誰々に〇〇万円を相続させる」とするのではなく、「全財産の(あるいは金融財産)の〇分の〇を相続させる」としたほうが無難です。金融財産には増減があり、財産はその時々で変わりますので、具体的な金額は示さない方がいいでしょう。
関塚さんの場合、ご自宅だけでなく、比較的自由に財産配分ができる金融資産が多いため、公正証書遺言を作成することで、次男と三男に指定した割合の金融財産を相続させるようにしました。そして、不動産と残りの金融資産は、いちばん頼りにしている長男に相続させることに決めました。また、長男を遺言執行者としてトラブルにならない配慮も加えました。
疎遠となってしまった次男、養子に出した三男にも財産を渡す手筈を整えた関塚さんは、「これでひと安心です」と安堵の笑顔を見せてくれました。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
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