銀行員から情報を引き出す…探りの質問の仕方
金融機関で質問すべき基本事項は先ほどお伝えしましたが、それら以外にも聞いておいたほうがよいこともあります。
まず、頭金が何%必要なのか。明確に教えてくれることはありませんが、金融機関によってだいたい決まっているのです。属性がこういう人なら、〇%必要というパターンは決まっていて、それをなるべく詳しく聞き出して、メモしておくことは大事です。情報の引き出し方は、こちらから探りを入れていくしかありません。
「だいたい10%くらいですよね」とか「ゼロでもいけたりします?」と聞けば、「そこまでなくてもいけますよ」「意外となくてもいい場合もありますよ」とか「ゼロはダメですね」と返してくれることもよくありますので。
次に事務手数料がいくらなのか。金融機関は手数料ビジネスだ、と指摘する経済学者もいますが、案外この事務手数料もばかになりません。定額制としているところは、3万円が相場になっているようです。金利だけを見て判断すると、事務手数料が高くて驚く場合があります。
また、繰り上げ返済時などに発生するローンの解約手数料も聞いておきます。変動金利か固定金利かでも変わりますが、交渉次第では有利な契約にしてくれることもあります。その余地があるかどうかも含め、聞いてみるといいでしょう。
このように聞いたほうがいいことがある一方、聞き流していいこともあります。それは行員が投資家目線でしてくるアドバイスについてです。物件の査定を金融機関としてするのは当然として、それを個人でもやってくる人がいるのです。もちろん個人の発言なので効力はほとんどないといっていいのですが、「これはやめておいたほうがいいですよ」とか「別のもっといい物件を知っています。紹介しましょうか?」などと言われることがあります。
投資家目線ではない基準でのアドバイスもあるので、その場合は聞き流しましょう。
いい担当者を「食事に誘う」こともアリ
金融機関について、いろいろと触れてきましたが、案外、担当者によって左右される部分もあります。担当者が替わった途端に、融資が出やすくなったという経験は、実際に私もあります。同じ銀行、同じ支店でも、担当者が投資に対して前向きな人になると、一気に風向きが変わることもあります。
ただ、相性がよくないからといって「担当を替えてくれ」とお願いするのはあまりよいことだとはいえません。ですから、少し距離を取って、支店を替えて再度アポイントを取ればいいでしょう。あるいは金融機関は異動が頻繁にあるので、少し期間を空けて連絡を取れば、替わっていることがあります。
ちなみに、私の基準ですが、いい担当者とは動きが早い人です。逆にダメな担当者は反応が遅い人です。「即日お返事します!」と言っていて、実際には数日後に連絡してくるような人はダメです。往々にして、書類を作成するのが不得意だったり、常に仕事を抱え込んでギリギリまで動かなかったりする人なので、担当者としては不合格です。
そしていい担当者は、なるべく懇意になりたいので、食事に誘うこともあります。加えて、その上司も必ず紹介してもらうようにしています。そうすると、たとえ異動があっても、良い関係を維持できるからです。
支店長クラスとも顔見知りになっておくと、顔を合わせたときに「あ、どうもこんにちは」と挨拶ができます。すると、担当者も「しっかりやらないと」と思ってくれるかもしれません。
曽我 ゆみこ
化粧品会社経営
投資家