理想の経営を目指すためには余裕を持った資金が必要である。さらには、会社を育てていくために、本業とは別にもう一つの定期的な収入源があれば、少なくとも生活していく分には安心だろう。「真面目で一生懸命頑張っている経営者」こそ不動産投資の恩恵は十分に受けられる――自身も投資家である曽我 ゆみこ氏はそう語る。経営者に特化した初心者のための不動産投資のポイントをわかりやすく解説する。本連載は、曽我氏の著書『経営者のための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

分譲は実需用が高値…一棟ものは買い手に寄り添う

価格だけではなく、どのような状態ならば有利に売ることができるのか、ということも考える人もいます。

 

たとえば物件が所在するエリアで、市場に出回っている物件数が多い時期に売りに出すか、少ない時期に売りに出すかといったことです。こうした市況で判断するのは、基本的には区分マンションの売買のときだと私は考えています。区分マンションの場合、似たような物件が多数出回るときがあり、普段なら無用な価格競争に巻き込まれることもあるからです。

 

また、区分マンションでは、投資家への販売ではなく、実需用に販売するケースも少なくありません。実需用に販売したほうが、高値で売れる傾向があるからです。ですから、実需が増える時期、具体的には異動や年度替わりのタイミングを見計うことも重要だといえるのですが、これも一棟ものの場合にはあてはまりません。

 

なぜ区分マンションと一棟ものでこうした違いがあるのかといえば、一棟ものは個性があるからです。同じエリアで似たようなものが出回るケースは、極めて稀なのです。

 

一棟ものの場合、あまり売る時期というのはこだわる必要はありません。もし厳密にいうのならば、買いたい人の立場になったときに、少しでも買いたいと思うような時期、つまり「決算に間に合うように買えるかどうか」というようなことを少し考慮したらいいのではないでしょうか。

大手販売会社の営業担当に「高く売る秘訣」を聞く

実際に、どのような不動産販売会社に査定を出したらいいのでしょうか。また、実際に売りに出したいときを逆算したら、どのような不動産販売会社と付き合っておくべきなのでしょうか。

 

何はなくとも、高く売ってくれる不動産販売会社がいいでしょう。それでは、高く売ってくれる不動産販売会社とはどういうところか。それは、高く買ってくれる優良な顧客(会員)をたくさん持っているところだといえます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

つまり、不動産販売会社は物件が出てから買い手をゼロから見つけるというケースもありますが、あらかじめ「こういう物件がほしい」という要望を聞いた顧客のなかから買い手を見つけるパターンも少なくないのです。

 

優秀な営業マンほど、すぐに物件と買い手をマッチングできるような状態に頭の中でなっているということです。

 

さて、ここで考えたいのは、顧客をたくさん抱えている不動産販売会社とはどういうところかということです。ひと言でいえば、大手の不動産販売会社がいいでしょう。大手には大手なりの安心感があり、資産が豊富な顧客ほど「やはり大手なら安心」と考える傾向があります。

 

ですから購入するときは、街の不動産販売会社など、濃い人間関係があるところから購入し、売るときには大手の不動産販売会社がいいということです。そして、少しでも高く売るためには、そうした営業担当に「どうしたらもっと高く売れますか?」と直接的に聞いてしまっていいと思います。

 

というのも、潜在的な買い手の要望について、最も把握しているのが彼らだからです。修繕したほうが高く売れるというのならば、修繕を検討していく。満室にしてからのほうがいいというのであれば、あらゆる手段を駆使して満室にする。買い手から「ぜひ、ほしい!」と言われる条件に近づけることが大切です。

 

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経営者のための初めての不動産投資戦略

経営者のための初めての不動産投資戦略

曽我 ゆみこ

プレジデント社

働けなくなったとしても生活していけるだけの毎月の十分なキャッシュフローをつくる(当面のお金の心配をせずに本業に専念できる)。会社をたたんだ時に、法人、個人全ての借入が清算(返済)できるだけの純資産をつくる。毎月のキ…

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