理想の経営を目指すためには余裕を持った資金が必要である。さらには、会社を育てていくために、本業とは別にもう一つの定期的な収入源があれば、少なくとも生活していく分には安心だろう。「真面目で一生懸命頑張っている経営者」こそ不動産投資の恩恵は十分に受けられる――自身も投資家である曽我ゆみこ氏はそう語る。経営者に特化した初心者のための不動産投資のポイントをわかりやすく解説する。本連載は、曽我氏の著書『経営者のための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

銀行から、融資を有利に受けるには…

どのようにすれば融資を有利に受けられるのでしょうか。私が指南するまでもないでしょうが、自身が経営する会社の業績が、審査の行方を大きく左右します。おおむね直近の3年間の決算内容(貸借対照表、損益計算書、資金繰り表)を提出し、その内容によって融資額や利子、返済期間が変わってきます。個人として不動産投資をする場合には確定申告書も必要ですが、中小企業の経営者の場合は、会社の業績が個人の信用と連動しますので、いずれにしても会社の決算内容がわかるものは用意します。

 

ですので、もしも節税のために赤字経営やそれに近い数字にしていると、融資をうまく引けなくなる可能性が高まります。安定して利益を出していることが、金融機関からの信用を高める方法になります。今からでも遅くないので、事業環境が順調であると見えるようにしましょう。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

融資をうまく引く方法として、ほかにも事業計画書を用意することがあります。皆さんは、本業で向こう3年間の事業計画書などを持っているかと思いますが、それと同じようなものを不動産投資用にもつくるのです。そこには、目標の数字だけではなく、「なぜ自分がこの投資法を選んでいるのか」ということの妥当性についても書いていきます。実際に金融機関に物件を持っていくときにも、その物件がなぜよいと考えているのかを添えましょう。

 

それから、融資をお願いする金融機関をきちんと選ぶことも大切です。ここまで既に、複数の金融機関を訪れ、その特徴を把握するよう努めましょうとお伝えしました。その知識をもとに、物件の特徴と金融機関の物件評価の特性がマッチするところに持っていくことで、成功率を上げることができます。だからといって、1行だけにしか持ち込めないわけではありませんので、複数の銀行に打診して、最も条件がいいところを選んでいきます。

「ものが動いている業種」が好かれる理由

どういった本業であると、銀行からの信用が高いかといえば、私の経験上、ものが動いている業種がよい感触を得られます。利益率が高い低いということよりも、実際にものを仕入れて売っている、販売しているということのほうが、信用が得やすいようです。

 

たとえば物販業。実際に事務所があって、従業員がいて、取引相手がいて、ものが動いている。そういう目に見えるものがいいわけです。一方で、コンサルティング業のような職種は評価されにくいといえます。肩書だけではよくわからない、想像がつかない商売であったり、どこから収入を得ているのかよくわからないような業種は、銀行員から敬遠されるということです。

 

またBtoCつまり個人消費者を相手にしているよりも、BtoBつまり企業を相手に商売をしているほうが、変動要素が少ないとして安定していると見られます。そのほか本業が数年以内の若い会社である場合には、経営者の経歴もチェックされることがあります。一貫性のない経歴を持っていたりすると、審査は厳しくされます。

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経営者のための初めての不動産投資戦略

経営者のための初めての不動産投資戦略

曽我 ゆみこ

プレジデント社

働けなくなったとしても生活していけるだけの毎月の十分なキャッシュフローをつくる(当面のお金の心配をせずに本業に専念できる)。会社をたたんだ時に、法人、個人全ての借入が清算(返済)できるだけの純資産をつくる。毎月のキ…

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