理想の経営を目指すためには余裕を持った資金が必要である。さらには、会社を育てていくために、本業とは別にもう一つの定期的な収入源があれば、少なくとも生活していく分には安心だろう。「真面目で一生懸命頑張っている経営者」こそ不動産投資の恩恵は十分に受けられる――自身も投資家である曽我ゆみこ氏はそう語る。経営者に特化した初心者のための不動産投資のポイントをわかりやすく解説する。本連載は、曽我氏の著書『経営者のための初めての不動産投資戦略』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

融資相談で聞いておきたい「8つの質問」

本業で既に金融機関との取引があると思いますが、まずはその金融機関をあたってください。その後、他の金融機関にも相談してみます。ここで、金融機関を訪れる際の具体的な流れも紹介しておきましょう。

 

いきなり金融機関に行って、「話があります」というのは、やめましょう。電話をかけて、「賃貸業を始めたいと思っています。融資について相談できませんでしょうか」と言って、きちんとアポイントを取るようにします。アポイントを取ったら、約束の時間に金融機関を訪れます。

 

このとき、先にも書いた資料のほかに、プロフィールシートも持っていくといいでしょう。プロフィールシートとは、その名のとおり、皆さん自身のプロフィールを書いたものです。そこには会社、年収、年齢、金融資産、その他の資産、負債額に加え、家族構成(共働きならば、パートナーの職業なども)を書いておきます。

 

そして、次の質問をします。

 

質問1「賃貸業をしたいのですが、お金を借りることはできますか?」

質問2「いくらまで貸してもらえそうですか?」

質問3「木造、鉄骨、RC構造のうち、融資しやすいものはありますか?」

質問4「新築と中古、両方とも融資していますか?」

質問5「法定耐用年数を超える融資は可能ですか?」

質問6「金利はどのくらいになりそうですか?」

質問7「物件詳細を持ってきたら、融資の可否のお返事はどれくらいの期間を見積もっていたらいいですか?」

質問8「融資の対象となる物件のエリアはどこまでですか?」

 

1行だけでなく、複数の金融機関に同じ質問をぶつけ、特徴を摑んでおきます。そのうえで、本格的に物件を探していきます。めぼしいものが見つかったら、「銀行から融資が引けたら購入する」という約束をして、再度金融機関と連絡を取って、以下の資料を提出します。

 

最初から全ては必要ありませんが、なるべく資料を揃えておくとよいでしょう。

 

「物件概要書」

「レントロール(物件の収益力を示すもの。家賃表)」

「不動産登記簿謄本」

「不動産売買契約書」のひな形

「重要事項説明書」

「図面(建物図面、間取り図、物件写真など)」

「公図」

「賃貸借契約書(すでに入居している場合)」建築確認済証」

「固定資産税評価証明書」

「源泉徴収票」

「確定申告書」

「本人確認書」

「印鑑証明書」

「住民票」

「課税証明書」

「既存借入の返済予定表」

 

法人の場合は、さらに「商業登記簿謄本」「定款」「決算報告書3期分」「納税証明書」「借入の返済予定表」も必要です。細かくは、金融機関によっても変わりますので、事前に確認しておくとスムーズに審査に入れるでしょう。

 

事前審査が通ったら、手付を払い、物件の契約を締結して、引き渡しへと進みます。

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経営者のための初めての不動産投資戦略

経営者のための初めての不動産投資戦略

曽我 ゆみこ

プレジデント社

働けなくなったとしても生活していけるだけの毎月の十分なキャッシュフローをつくる(当面のお金の心配をせずに本業に専念できる)。会社をたたんだ時に、法人、個人全ての借入が清算(返済)できるだけの純資産をつくる。毎月のキ…

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