「男性社会」の名残を顕著に残す日本の医療業界
医師以外でも男女差はあるが、医師に限定してみたときの圧倒的な男女差は、医療界のダイバーシティのなさを物語っていると思う。審議会や有識者会議に男性ばかりを集めることに私は賛同しない。経験豊かな長老の存在は必要ではあるが、次世代を育て経験を共有していくためにも、若手と女性のメンバーを増やすべきである。そのことが社会全体への働きかけのきっかけともなるはずだ。
医療界のダイバーシティ問題には辟易している。特に徒弟制度の色の濃かった医師という職種にはその傾向が強く、男性社会の名残が顕著に残っている。2018年春の大学入学者選抜試験において、東京医科大学をはじめとする複数の大学で、女子受験生を減点するなど不公正な操作が行われていたことは記憶に新しい。将来的に女子の離職が多いからなどという言説も流れ、時代錯誤も甚だしいと呆れかえった。
実は、医療全体のシステムとしてみても医師が男性社会であることの影響は強い。
新型コロナ専門家会議の中心にいる男性メンバーが、個別にどういう思想をお持ちなのか知らないが、大学や研究機関で重要な役職を得てきた60代、70代の医師は、まぁエリートだったであろう。大半の方は男性優位の社会にどっぷり浸かった働き方をしてきたはずだ。
そういうエリートはだいたい安全なこと、別の言い方をすると前例を踏襲した無難なことしかしないので、従来の考え方を変えなければならないときに、むしろ膠着状態を作り出すと懸念している。専門家会議の男女数の差にもそれが現れている。