コロナで明らかになった「日本のダイバーシティの溝」
令和2年2月14日付で、新型コロナウイルス感染症対策本部が、専門家会議の開催を決めた。座長を含め11人が選出されているが、必要に応じて、座長は、その他関係者の出席を求めることができるとされている。
専門家会議は、2020年7月3日に廃止され、新型インフルエンザ等対策有識者会議の下部組織として『新型コロナウイルス感染症対策分科会』が設置されるとともに、厚生労働省のアドバイザリーボードも再開されている。その顔触れをみていて、気になったことがある。
圧倒的に女性の比率が少ないのである。
まず、2月に設置されていた専門家会議をみてみよう。12人のメンバーは、男性10名、女性2名である。男性9名のうち1名は獣医師免許を持つウイルス研究の第一人者で、残り8名は臨床医か研究者かの違いはあるが医師免許をもつ。
一方、女性2名は弁護士と研究者であり、医師免許は持たない。男性陣の名前は、過去の新型インフルエンザをはじめとする感染症対策の場面でよく見かけた名前が並んでいる。急を要する事態であり、過去の実績があって声をかけやすいメンバーを集めたのだろう、くらいに思っていた。
だが、『新型コロナウイルス感染症対策分科会』は、基礎研究者ら4人が外れ、座長の脇田氏や尾身氏、公衆衛生やリスクコミュニケーションの専門家8人が移行した。男性6人、女性2人だ。そして新たに感染症指定医療機関の医師のほか、医療法人や保健所からの代表が入り、全国知事会の新型コロナ対策本部長や、新聞社の常務取締役も構成員となった。
笑える。7月3日現在、構成員14名、臨時構成員4名である。これら18名のうち、男性13名、女性5名。専門家会議のときよりは比率は落ち着いたが、医師免許を持つ者に限定すると興味深い。18名のうち医師免許を持つのは10名だが、内訳は男性8名、女性2名だ。しかも女性の1人は全国保健所長会副会長だが、もう一人は新聞社の常務取締役である。彼女は1985年、医学部卒業後6年で新聞社に入社しており、医師としての立ち位置は求められていないだろう。男性医師8名に女性医師1名である。
ちなみに上部組織である、新型インフルエンザ等対策有識者会議のメンバーを見てみると、36人中、男性は30人、女性は6人だ。そのうち男性医師は14人だが、女性医師は前述の新聞社取締役の1人だけだ。ちなみにほかの5人の女性の内訳は、患者情報センター代表、弁護士2人、大学教授2人である。医師以外の男性16人の内訳は、大学関係者が5人、他は経済団体や自治体関係者などだ。