新築神話の崩壊?…リノベーション社会で中古再評価の恩恵も

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

野村総研の予測では住宅着工戸数は半減する

不動産バブル崩壊後の日本では、ようやく本格的なリノベーション社会が到来しそうです。

 

空き家の増加が止まらず、所有者不明土地が国土の荒廃を加速させる時代にあって、今後は宅地造成をして住宅地を開発分譲することに対するニーズはなくなりますし、新築マンションマーケットは小さくなるいっぽうです。

 

本格的なリノベーション社会が到来する。(※写真はイメージです/PIXTA)
本格的なリノベーション社会が到来する。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

住宅着工戸数は2017年で96万5000戸ですが、野村総研の予測では2030年度には55万戸にまでその数は減少していくといいます。郊外部へと広がっていった住宅地が都心回帰を始め、人々が住むエリアが縮んでいく中で、中古住宅をリノベーションして住み続けていく選択をする人も、増加していくことが予想されます。

 

中古住宅に対する性能評価が中古流通価格に反映されるようになれば、建物を築年数だけで判断しない、正しい価格付けができるようになります。そうなれば、中古住宅に対してインスペクション(検査)を行ない、修繕すべき部分、追加すべき設備などを抽出し、これに対してリノベーションを加えることで不動産価値を維持、増進させていこうという機運も生まれます。

 

私の知人は、25年前に買った自宅の全面リノベーションを行ないました。子供たちが独立したのを機に一時は建て替えも検討したとのことですが、家の軀体はしっかりしているし、何といっても現在の建設費の高さはそのほとんどが人件費。これでは自分たちが望む仕様の家を建てることはできないと判断し、リノベーションに踏み切ったとのことでした。

 

まず手を付けたのが水回りです。タイル貼りの風呂場は梅雨時になるとカビが生えて清潔に保つのが難しかったのでユニットバスに。ご主人にとっては、ユニットバスはビジネスホテルやマンションに入っているチープな風呂場との印象が強かったのですが、ショウルームに行って豹変、デザインの選択肢も多く、すっかりユニットバスの虜に。さらに洗面台、トイレ、キッチンをリノベーションした、ということです。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

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