野村総研の予測では住宅着工戸数は半減する
不動産バブル崩壊後の日本では、ようやく本格的なリノベーション社会が到来しそうです。
空き家の増加が止まらず、所有者不明土地が国土の荒廃を加速させる時代にあって、今後は宅地造成をして住宅地を開発分譲することに対するニーズはなくなりますし、新築マンションマーケットは小さくなるいっぽうです。
住宅着工戸数は2017年で96万5000戸ですが、野村総研の予測では2030年度には55万戸にまでその数は減少していくといいます。郊外部へと広がっていった住宅地が都心回帰を始め、人々が住むエリアが縮んでいく中で、中古住宅をリノベーションして住み続けていく選択をする人も、増加していくことが予想されます。
中古住宅に対する性能評価が中古流通価格に反映されるようになれば、建物を築年数だけで判断しない、正しい価格付けができるようになります。そうなれば、中古住宅に対してインスペクション(検査)を行ない、修繕すべき部分、追加すべき設備などを抽出し、これに対してリノベーションを加えることで不動産価値を維持、増進させていこうという機運も生まれます。
私の知人は、25年前に買った自宅の全面リノベーションを行ないました。子供たちが独立したのを機に一時は建て替えも検討したとのことですが、家の軀体はしっかりしているし、何といっても現在の建設費の高さはそのほとんどが人件費。これでは自分たちが望む仕様の家を建てることはできないと判断し、リノベーションに踏み切ったとのことでした。
まず手を付けたのが水回りです。タイル貼りの風呂場は梅雨時になるとカビが生えて清潔に保つのが難しかったのでユニットバスに。ご主人にとっては、ユニットバスはビジネスホテルやマンションに入っているチープな風呂場との印象が強かったのですが、ショウルームに行って豹変、デザインの選択肢も多く、すっかりユニットバスの虜に。さらに洗面台、トイレ、キッチンをリノベーションした、ということです。