先妻の娘たちを育て、長男も生んでくれた後妻。しかし、夫親族との折り合いは最悪で、家族関係には問題が山積しています。ストレスから心を病んでしまった後妻と長男の生活を、夫として、父親として守る方法はあるのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
複雑な家族関係の影響か、心に問題を抱える長男
今回の相談者は、60代のY田さんです。Y田さんは先妻との間に2人の娘を授かりましたが、先妻とは若くして死別。その後、現在の妻と再婚して長男が誕生しました。
後妻は自分の子どもだけでなく、まだ幼かった先妻の子も育てなければならず、ずいぶんと苦労をしてきました。そのうえ、近くに住むY田さんの母親や姉が頻繁に訪れては、わが物顔で振る舞っていたため、後妻と後妻の長男は、自分たちが住む家でありながら、ずっと肩身の狭い思いをしてきました。
Y田さんの話によると、Y田さんの母親と姉は、後妻のことが気に入らず、先妻の子どもたちと対立させるようなことを吹き込むなど、家族関係を悪くするようなふるまいをしてきたということです。
また、Y田さんは商社マンとして働いており多忙で、しばしば出張で家を空けていたため、後妻は守ってくれる人がなく、とても苦しんでいたといいます。
後妻の長男が高校を卒業したころ、Y田さんの母親が亡くなり、その数年後、先妻の長女と次女が相次いで結婚し、家を離れていきました。Y田さんはようやく後妻と長男の3人の静かな生活をスタートさせましたが、これまでの複雑な家族関係が影響したのか、後妻の長男は次第に家に引きこもるようになり、せっかく入社した会社も退職してしまいました。やがて鬱病と診断され、30代の現在も社会と関わりを持てないでいます。
●相続人関係図
遺言作成者:Y田M晴さん・70代
推定相続人:後妻、後妻の長男、先妻の長女、次女
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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