盆暮の付け届けで職員とのコミュニケーション
介護の世界では「声なき声に耳を傾ける」という言葉があります。実は、何も要求をしてこない入居者に対し、介護職員は意外なほど配慮し、気がつき、考えているものなのです。自己主張が強い人よりも、自己主張がない人や我慢強い人などに、何かしてあげたいと考えるのが介護職員です。老人ホームで、上手く生活をしていきたいのであれば、自己主張はほどほどに、声なき声を聴いてもらえるような入居者になったほうが有利なのかもしれません。
ちなみに、盆暮れの付け届け(お菓子などの差し入れ)は、ホームに必要なのか?私は必要だと思っています。最近の老人ホームでは、盆暮れの付け届けの受け取りを拒絶するところも多いのですが、結論から言ってしまうと、付け届けをしたからといって、特別に入居者が便宜を図ってもらえるということは一切ありません。しかし、差し入れを行なうことによって、介護職員との接点が増え、雑談をする機会が増えるという効果があります。
老人ホームの場合、定期的に入居者の介護方針については老人ホーム側と主治医、そして家族の三者でカンファレンスをする決まりになっています。しかし、カンファレンスではわからない、どうでもいいようなローカル情報は、介護職員との雑談の中に潜んでいます。したがって、差し入れを持っていきがてら、介護職員を捕まえて、最近どう?と聞いてみることが、意外と重要なことになってくるのです。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役