新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

自分がすんでいた家や地域に愛着なし

現在首都圏に暮らす団塊世代と呼ばれる1947年から1949年にかけて生まれた世代は、200万人を超えるといわれます。この人たち全員が後期高齢者となる満75歳に到達するのが2024年です。団塊世代は昔から人数が多いことから競争社会にもまれ、その中でも元気に生き抜き、常に日本をリードしてきた世代です。しかし、さすがに後期高齢者になってくると、病院や高齢者施設のお世話になる人も増えてきますし、相続も発生してきます。

 

彼らの子供たちを世間では団塊ジュニアといいます。年齢にして30歳後半から40歳前半が該当します。彼らは現在では社会人として中核世代を占めつつありますが、彼らの両親の多くが専業主婦世帯であったのとは対照的に、ほとんどが共働き世帯です。

 

団塊ジュニアの多くが、父親が住宅ローンを組んで買った郊外ニュータウンの住宅地で育ちました。幼いころから潤沢に教育費をかけられ、小学生から塾に通い、私立中学に合格し、毎日途方もないほど時間をかけて学校に通い、都内の大学を出て就職をしました。

 

そんな育ち方をした彼らに家の話を聞くと、みな口をそろえて言うのは、

 

「自分の住んでいた家や地域には特に愛着は感じない」

 

という述懐です。

 

あたりまえです。彼らの親が育ったような地方の家と異なり、整然と区画されたニュータウンで幼いころから野原で遊ぶ機会は少なく、物心ついてからは塾やお稽古事の連続で育ち、毎朝早起きして都内の私立中学、高校に通った身からすると、ニュータウンが「故郷」にはなりえないのです。

 

しかも夫婦共働き世帯があたりまえの時代になると、子供を抱えて郊外から通勤するライフスタイルはまったく通用しなくなっています。

 

そんな中で親に相続が発生すると、どうなるのでしょうか。

 

まず子供が親の家に「跡取り」として住むことはちょっと考えられません。彼らの多くは都心居住をすでに実践しているからです。

 

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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