日本で入浴中に死亡した人は、年間およそ1万7000人
ヒートショック現象とは、暖房がきいている暖かい部屋から息が白くなるような寒い部屋へ移動した時などの急激な温度差によって、血圧が上下して心臓や血管に負担がかかる状態のことです。
部屋ごとの温度差が10°C以上になるとヒートショックが起こりやすくなるといわれ、寒い冬の発生率が非常に高いのが日本家屋の特徴です。
特に真冬の入浴時は、暖かい部屋から寒い脱衣所に移動して裸になると、鳥肌が立ち、体の熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上昇します。その状態でお湯につかると、今度は全身の毛細血管が広がり血圧が下がるという、さらなる血圧変動が起こるのです。
普通の人なら問題はありませんが、高齢者や心臓に持病を抱えている人には負担が大きく、体が急激な温度変化に耐えることができません。時には脳卒中や脳血管疾患、心筋梗塞など、生命にかかわる事故につながり、1人暮らしの場合は溺死のリスクが高まります。
日本で入浴中に死亡した人の数は、年間およそ1万7000人に達しています。その主な原因はヒートショックなどによる溺死です。2017年の交通事故による全国の死亡者数が3694人なので、約4.6倍もの人が浴室で亡くなっていることになります。
しかも、この死亡者数には、救急搬送後に病院で脳血栓や心筋梗塞などで亡くなった場合は含まれていないため、実際のヒートショックによる死亡者数はもっと多いと推測されます。
室温が一定の住宅なら、ヒートショックとは無縁だと思っている人は多いでしょう。
しかし、実際に高気密・高断熱住宅に住んでみたら、想像以上に断熱性能が悪くて部屋ごとの温度差があり、寒さに悩まされているという人は大勢います。
また、家の断熱性能が悪く適切に換気がされていない場合、夏に起こる熱中症も非常に危険です。
熱中症は、高温多湿の状況で体内の水分が不足し、体温調節ができなくなることで起こる吐き気やめまい、頭痛などの一連の症状です。重度になると、高熱を出して意識障害、けいれん、手足の運動障害などが起こり、さらに悪化すると脳障害や肝機能障害を起こして死に至る危険性もあります。