「ダニの住む家」は常温多湿の環境が誘発する
以前はシックハウス症候群というと、家を建てる時に使う建材や家具に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質が原因の健康被害というイメージがありました。しかし、これらの化学物質は2003年の建築基準法の改正によって使用が制限され、以前よりも被害が著しく少なくなりました。
むしろ、近年のシックハウスは薬剤使用が少ないため、カビやダニによる空気汚染が原因になっています。
カビと同様、ダニは人の住む常温多湿の環境で多発します。
高気密・高断熱、かつ通気性が非常に悪いジメジメした部屋は、ダニの恰好の繁殖場所になります。
室内のダニが、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの原因物質であることは、1960年代以降にようやく分かってきました。
特に未成年、および代以降の高齢者はダニアレルギーによるぜんそくになりやすくなるといわれており、家庭内のダニ発生は大きな問題です。
家の中に最も多く生息するのが、チリダニです。
チリダニの仲間であるヤケヒョウダニ・コナヒョウヒダニは、生息に必要な人のフケやアカの多い不潔な住まいで繁殖します。抜け殻やフン、死がいは空気中に漂い、人が住む家のホコリや、ダニが侵入した小麦粉などの粉製品は、アレルゲンの巣窟です。これらを吸い込むうちに、アレルギー性ぜんそくや皮膚炎、結膜炎、そして命をも脅かすアナフィラキシーショックを引き起こすことにもつながります。
「換気できない家」が頭痛、睡眠障害の原因になる
高気密・高断熱住宅は、建物のすき間が小さいので、自然に新鮮な空気は流れ込みません。
一方、シックハウス症候群対策として2003年から「2時間で室内の空気がすべて入れ替わる換気設備の設置」が義務づけられるようになりました。
各室に換気扇、またはそれに相当する機能を持つ換気口をつける必要があり、換気扇は基本的には時間ずっと回し続けないといけません。
しかし、この換気設備をオフにしてしまったり、そもそも設備が不十分で換気がきちんと行われていないなどの理由で、基準を満たさない家は多くあります。