免疫力の弱い、赤ちゃんや子ども、高齢者がカビに…
窓や壁、押し入れなどに起こる結露を「表面結露」といいますが、壁の中に起こる「内部結露」もあります。
水蒸気が壁の中で水滴に変わる(内部結露)と、それを壁の中にある断熱材が吸い取って、カビの発生につながり、木が腐る原因となります。
断熱材の中でも特によく使われているグラスウールは、吸水率が高いため、水を吸うと黒カビ発生の原因になりやすいので、取り扱いや施工上で結露発生防止策が必要です。
家の天井が黒くなっていてカビくさいので壁をはがしてみると、グラスウールが湿気を吸い、濡れてしまったことでカビが発生していたというのを、よく見受けます。
それだけでなく、内部結露は木材の腐食や金属のサビの原因になって、シロアリの発生を招きやすくなり、家の耐久性を著しく損ねてしまいます。
カビは、一般的には無害なのですが、体調によっては健康にも多大な影響を及ぼします。カビによる健康被害で非常に多いのが、カビの胞子がアレルギーの原因になるぜんそくやアレルギー性鼻炎です。
アレルギー性鼻炎の発生は、アレルゲン(アレルギーの原因物質)の量に関係します。部屋の中にカビが増殖していて、その胞子が常に室内を漂っている状態であれば、カビがアレルゲンになってぜんそくやアレルギー性鼻炎になる可能性は非常に高くなります。
なお、カビが目に見える状態で室内に存在するということは、実は周囲に相当な量のカビが飛んでいて、広く行き渡っている証拠で、健康には非常によくない状態です。普通の家なら、ハウスダスト(ホコリ)1グラムあたり数十万個の胞子が存在しており、多い家になると1億個を超えることがあります。
生まれたばかりでまだ免疫力の弱い赤ちゃんや子ども、主婦や高齢者は、1日の多くの時間を室内で過ごすことになります。室内がカビの胞子で汚染されている状況では、家で過ごしているだけで、ぜんそくやアレルギー性鼻炎のリスクにさらされてしまうのです。そして家族の健康を支える存在であるお母さんも、不健康な家でずっと家事や育児をしていては身体が弱り、副鼻腔や肺の中でカビが増殖してしまい、精神的にも参ってしまうでしょう。
夏風邪の原因は、エアコン内部の「カビ」だった?
近年では、毎年夏になると風邪のような症状が出て咳をくり返す「夏型過敏性肺炎」が問題になっています。
夏型過敏性肺炎は、病院でも単なる夏風邪だと誤診されやすいのですが、原因はカビの一種である「トリコスポロン」です。トリコスポロンは湿気を好み、いたる所に潜んでいるため、そんな家の中で生活し続けると、肺が委縮して呼吸困難に陥り、命にかかわることさえあります。
夏型過敏性肺炎の原因であるトリコスポロンは、湿り気のあるエアコン内部に増殖しやすい特徴があり、不潔な水道の蛇口にも多く潜んでいます。
エアコンをつけるたびにトリコスポロンの胞子が飛び散るので、体は常にカビアレルゲンにさらされ、ずっと症状に悩まされることになるのです。