本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

多くの土地を所有しているのに遺産分割の詳細は真っ白

面積、形状、価格、利用価値などを複合的に考えれば、一つも同じ土地がないことがわかってきます。どこか一つを見落としただけでも不平等感が出てしまい、揉めてしまうことが出てくるのが遺産分割です。

 

多くの土地が相続財産にある場合、トラブルを起こさないようにするとしたら、土地一つひとつの総合的な価値を計算し、分割時の組み合わせについて、慎重に時間をかけて決めていかなければなりません。そこで時間が必要となります。

 

土地の価格を算出するだけでも、現地調査や役所調査などによってかなりの時間を費やすこともあるので、相続が発生してから相続税の納税期限までの10カ月間ですべてを問題なく終わらせるのは、実質的には難しいことでしょう。土地の分割方法が何も決まっていない状態で、20筆もの土地の価値や分割方法を一から考えて、皆が納得する方法に落ち着かせるには時間が少なすぎるのです。

 

Aさんの場合、多くの土地を所有しているにもかかわらず、遺産分割の詳細が指示されていないことは大きな問題でした。土地に対する価値観の相違から、分割時に揉めてしまう危険性が高い状態だったのです。

 

問題点2 貸地(底地)が多い

 

土地の中でも、貸地はその処分や整理が難しいと言われている資産です。Aさんの場合、貸地が15筆もあったことも問題を起こす原因と考えられました。

 

貸地には必ず借地人がいます。それが足枷となり売却しようにも買い手が付きづらく、駐車場にするなど別の活用方法を考えても、借地人と話し合って、立ち退くことに納得してもらわないことには何もできません。定期借地権であれば更新規定の適用を受けないことから、契約満了のタイミングを見計らえばいいのですが、そうでなければ何らかの対策を講じないと活用は難しいことになります。

 

利用しにくい貸地を相続しようと思う相続人は少ないと思いますが、それにもよらず、土地という不動産である以上一定の評価額があり、相続税をかさ上げする資産なので、相続においては不良資産と呼ばれているのです。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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幻冬舎メディアコンサルティング

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