本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

92歳、ついに相続対策を始める…最初に決めた「約束」

貸地を整理する方法もいくつかありますが、時間を要します。Aさんの場合、多くの貸地がすぐに売却できるような立地でもなかったことや、場所によってはある程度の収益性があったことから、子どもたちが分担して相続する方がいいと判断しました。

 

貸地を分担するにあたって考えるべき要素に、土地の収益性があります。地代をもらって固定資産税を支払ったときの手残りが、意図せずに誰かが極端に多いとなれば不公平ですから、収益性でも納得し合えるという視点が必要です。貸地の場合は他にも、その土地の借地人の素行や人柄などを気にする人も出てくるでしょう。滞納しがちで横暴な借地人よりも、確実に地代を支払ってくれる誠実な借地人を通常は望むはずです。

 

貸地のこれらの要素は土地の価値につながってくることなので、更地としての土地の価値を算出すると同時に、収益性や借地人の条件をプラスして考えていくことが必要になるのです。

 

解決策1 相続人だけでじっくり話し合う場を設ける

 

Aさんのケースでは、貸地を含む多くの土地を、4人の相続人たちがうまく分割できるかどうかが円満な相続のための最も重要なポイントでした。

 

最初に行ったことは、相続人となる子ども4人に集まってもらい、遺産分割について話し合ってもらうことでした。Aさんはまだお元気とはいえ、その頃で既に92歳であり、年齢からしていつ何が起こってもおかしくはなかったのです。

 

まだ何も起こっていない今のうちに集まってもらい、相続人に相続について意識をしてもらうことから始めて、相続が起こった場合、いつまでに何をしていかなければならないかをご説明しました。

 

そしてこの最初の段階で皆さんと「ある約束」を取り付けました。その約束とは、「この遺産分割はきょうだい間の話なので、それ以外の人を関わらせることはしないでください」というものです。

 

相続で揉めるパターンとして、相続人の配偶者など第三者からの口出しがあります。奥さんがいる相続人だったら、奥さんから「学費等で家計が大変だから、少しでも多くの遺産をもらうようにお願いしてほしい」と圧力をかけられて従ってしまうことも実は多いのです。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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