売上に伸び悩む企業が見落としてきた「単純すぎる人間の感情」

コロナ拡大第2波が懸念される現在。活動自粛を再び要請されるのではないかと、戦々恐々としている人も多いことだろう。「企業の在り方」そのものが変革している今こそ、自身の携わるビジネスの根幹を見直してみよう。本記事では、株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員・高松康平氏の書籍『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、解説する。

「広告費かけても売上伸びない」あなたはどうする?

2018年4月、あなたは、スーツスペシャルの有楽町店店長として働いています。業績の伸び悩みを受けて、社長から特別プロジェクトの責任者に任命されました。本質的な課題を発見し、解決策を社長に提案することを期待されています。本記事のケースはすべて架空のストーリーです。

 

あなたならどうする?
あなたならどうする?

 

(会社概要 ※架空の会社)

社名:株式会社スーツスペシャル

本社:東京都

設立:2008年

従業員数:50名

店舗数:都内に10店舗

 

スーツスペシャルは、特別な一着をお届けするオーダースーツをお客様に提供しています。社長はもともと大手スーツ会社で販売の仕事をしていましたが、既製品ばかりを売るスタイルに違和感を持ち、スーツスペシャルを創業しました。

 

「特別な一着」というミッションの下に、店舗を増やしてきました。創業は、恵比寿の裏手にある雑居ビル3階からスタートし、今では銀座、青山、新宿など、東京都心に10店舗を構えるまでに成長しました。商品はスーツのみを販売しており、顧客のほとんどが男性です。

 

(スーツスペシャルの歴史)

2008年 恵比寿店オープン

2009年 日本橋店、青山店オープン

2010年 新宿店、銀座店オープン

2011年 有楽町店、渋谷店、池袋店オープン

2012年 表参道店オープン

2013年 新橋店オープン

 

(社長の話)

「2013年の新橋出店を最後に、新規出店はストップし、既存店舗での接客の質を上げ、協力工場との関係を強化し、良質なスーツを早く納品できるようにしてきた。各店舗ともに、予約制を採用している。予約はホームページで受け付け、希望時間と氏名と電話番号・メールアドレスを簡易フォームに入力してもらう。

 

接客時間はまちまちだが、一人につき1時間程度だろうか。予約なしで来店されたお客様でも、入店することはもちろん可能だ。対応できるスタッフがいれば、すぐに接客を行う。お客様には、まず3種類からどのタイプのモデルを選ぶかを決めてもらう。

 

① スタイリッシュモデル……直線的でスラッとしたシルエット

② ヨーロピアンモデル……曲線基調で柔らかいシルエット

③ オリジナルモデル……全体的にゆったりとしたボックス型のシルエット

 

その後で、生地を選んでもらう。①②のモデルはすべての価格帯の生地に対応しているが、③のオリジナルモデルは、高級生地しか対応していない。オリジナルモデルは、創業期に有名デザイナーに依頼して作り上げたスーツスペシャル自慢のモデルである。生地は、全部で200種類あり、その価格によって、スーツの金額が決まってくる。

 

①スタイリッシュモデル、②ヨーロピアンモデルだと、5万〜15万円までの価格になる。③オリジナルモデルの場合、対象がブランド生地だけになるため、価格は10万〜20万円となる。モデルと生地が決まった後はオプションを選んでもらい、採寸を行う。納品までは約4週間の時間をいただいている。

 

ここ数年、スーツスペシャルはマーケティングチームを立ち上げ、全社的なPR活動を推進している。しかし、ここ最近の動きを見ていると、売上に対する広告費の比率が上がってきている。マーケティング担当に聞いてみても、スーツスペシャルの認知度は徐々に上がり、ウェブ広告のクリック率も上がってきているため、問題がないと言われてしまう。しかし、広告費用をかけているにもかかわらず、売上が伸びていない。むしろ下がってしまった。

 

業績は順調に伸びてきたが、最近は広告効果が落ちており、その立て直しを考えている。売上も下がってきており、売上を回復させてほしい」

 

[図表]売上対広告費比率の推移

 

 

そのプロジェクトの責任者として、あなたが任命されたのです。さて、あなたがスーツスペシャルの問題解決に取り組むとしたら、何から始めるでしょうか。

株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員
問題解決力トレーニングプログラム講座責任者
ビジネス・ブレークスルー大学専任講師

慶應義塾大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後、リクルート等を経て現職。現在は教育コンテンツ開発室長を務め、「BBT問題解決力トレーニング」の講座責任者でもある。自らも法人研修講師として年間約100日登壇している。2019年7月からは毎日1題10分考えるオンラインサービス「BBTルーティン」を提供中。

著者紹介

連載筋の良い仮説を生む~問題解決の「地図」と「武器」

筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」

筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」

高松 康平

朝日新聞出版

マッキンゼーで世界最高峰の「考える力」を身につけ、ビジネス・ブレークスルーで「問題解決力トレーニング」を教える著者が、経験がなくても、筋のよい仮説をつくり、問題を解決していくステップと「7つの武器」を伝授。

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