株式会社ビジネス・ブレークスルー執行役員である高松康平氏の書籍『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋してお届けする本連載。初回は、ビジネスシーンで問題に直面した際、多くの人は「楽しくない」という単純な感情を根拠として、もっとも大切な現状理解(WHERE)をないがしろにし、本質的課題発見(WHY)や解決策立案(HOW)に進みたくなる傾向があることを解説した。本記事は第2回目。現状理解(WHERE)にあたる思考プロセスとは、具体的に何を指すのか?

分けることで、その後の検討の精度が上がる

こんなニュースを見たら、あなたはどのように考えますか?

 

大手高級家具店2019年度の売上高昨年度対比マイナス10%

 

こんなニュースを見ると、人間の脳は、自然とWHYやHOWにいきたくなります。たとえば、こんなことを考えたくなります。

 

・いまの時代、安く買える家具店が出てきたことが原因なのでは?(WHY)

・いまの時代、家具もネットで売ったほうがよいのでは?(HOW)

 

最初の例は、WHYに進んでしまっていますし、2つ目の例はHOWに進んでしまっています。このように考えることは人間の脳の癖ですので、仕方のないことです。

 

また、社名は書いていませんが、大手高級家具店と書いたことで、もしかしたら、あの会社のことかな?と想像された方がいるかもしれません。そうなると、さらに問題解決の先に進みたくなります。たとえば、

 

・あんな高級な家具を置ける家は少ないよね?(WHY)

・経営陣のゴタゴタがあったからじゃないか?(WHY)

・社長を変えたほうがいいよ!(HOW)

・やっぱり会員制の充実が大切だよね(HOW)

 

このように、一つのニュースを見た瞬間に、人間の脳は問題解決を先に進めたくなります。これを私は「先走り症候群」と呼んでいます。特に、その対象について詳しければ詳しいほど、先走る傾向があります。

 

これはとても危険なわけです。なにせ、まだ、現状分析をちゃんと行っていないわけですから。しつこいですが、まずは、現状分析をしましょう。売上が10%下がったとありますが、その問題の発生場所を突き止めることが問題解決の第一歩です。

 

・特定の商品が売れなくなっているのではないか?(WHERE)

・特定の店舗で売上が下がっているかもしれない?(WHERE)

・来店客数は減っていないが、購入点数と購入単価が下がっているのではないか?(WHERE)

・インバウンド向けの売上が下がっているかもしれない?(WHERE)

 

このように、まずは売上減少がどこで発生しているかを突き止めにいくのです。もし、特定の商品が売れていないならば、その商品が売れないことだけを検討すればよいわけです。

 

売上減少はどこで発生しているのか。
売上減少はどこで発生しているのか。

 

購入点数や購入単価が下がっているならば、それはなぜ起きたのか? その問題だけを解決すればよいわけです。目の前に現れた問題にすぐに飛びつかない。目の前に起きている問題を分解してみることで、問題の発生場所を特定しましょう。それが、問題解決のステップ1です。

 

このステップで必要となる武器が「こだわりを持って分ける」技術です。どこで問題が起きているかを見つけるために必要となる武器です。

 

次ページ「分析」聞こえはいいけど適当にやっては意味がない
筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」

筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」

高松 康平

朝日新聞出版

マッキンゼーで世界最高峰の「考える力」を身につけ、ビジネス・ブレークスルーで「問題解決力トレーニング」を教える著者が、経験がなくても、筋のよい仮説をつくり、問題を解決していくステップと「7つの武器」を伝授。

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