本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

地銀担当者が真っ青になった「顧問税理士の言葉」は…

【Case:くり上げ返済にデメリットなし?】

 

会社と個人の状況をいつも相談している顧問税理士から「今期は少し余裕があるので、不動産の融資分をくり上げ返済したらどうか? うちにデメリットはまったくないです」と提案された。融資をしてくれた地銀の担当者は顔色を変えていたが、実際のところ銀行の影響はどうか。また、デメリットはあるのか?

 

 

 

銀行には原則NGとなる行為だ。くり上げ返済をした当事者は「払う利息が減ってよかった」というが、その分だけ銀行が消失を被るわけで、確実に以後のつき合い方が変わっていくことになるだろう。

 

もう一つ気になるのは、税理士の「デメリットはまったくない」という言葉だ。実際の会社経営を知らないからこその言葉であり、驚きを隠せない。なぜ最近になって「黒字倒産」が増えているのか、そこを考えてもらいたいものだ。

 

結論から言うと、見るべきポイントはキャッシュフローだ。資産にかかわらず、現金が潤沢であれば倒産はしないし、ビジネスも停止しない。しかし逆になると、先の通り会社は黒字倒産するしかない。だからキャッシュフローが大事なのだ。また、これも少し考えてみてほしいのだが、

 

① 土地や建物などの資産を1億円持っている投資家

② 土地や建物の所有はないが、現預金が1億円ある投資家

 

のうち、どちらに融資をしたいと考えるだろうか。おそらく銀行マンでなくても、②を選ぶことだろう。そうなれば、わざわざ銀行に恨みを買ってくり上げ返済するよりも、余剰のお金で新たな投資をしたり、ほかに必要なことに費やしたりするべきだろう。

 

投資家として成功する人は、1,000万円で得た利益が300万円なら、その300万円を再び投資してさらに利益を生み出す。「もったいない」と思う人がいるかも知れないが、そもそも300万円は偶然儲かって得たお金であり、それが失敗してゼロになっても実はマイナスにはならないのだ。会社や事業もそうやって大きくしていくものだが、やはり近年はそこまで思い切れる人が減っている感覚がある。

 

どうか読者の皆様も、自分がどうしていくべきかを考えてもらいたいと思う。

 

 

【過去の連載】
年収300万円の会社員「不動産投資で儲ける」…20年後の末路

価値なし…郊外ショッピングモール隣マンションの致命的欠陥

「資産10億円」ホラ吹く『自称メガ大家』の少なすぎる手取り
 

 

株式会社BRAVE 代表取締役

山部 和孝

 

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