年間5,000万円の家賃収入。でも借入額は驚愕の…
実はこの質問は、以前に相談を受けた方の実話をもとにしている。相談者は80歳で、早い段階からリタイア後の人生を考えて、資産運用について思案していたという。そんな時に、以前から知人だった税理士から「区分マンションを買い、その利益と収入で少しずつ買い増していく」という方法を聞いたのだそうだ。
以来、相談者は言われた通りに買い増し、今では50を超える物件を所有し、年間で5,000万円ほどの家賃収入がある。それだけだと成功している印象を受ける。
しかし実際、返済して残るお金は500万円程度だ。借入残高も7億円残っている(残債表面利回りで7%程度)。現在だけを切り取って見ると、他の同世代より裕福な生活もできているという。だが、これを相続することは至難の業だ。なぜか。それは、相続する物件がすべて区分マンションだからである。
度々触れてきたように、銀行は建物ではなく土地を評価する。実際区分マンション投資は売却できる価格より残債の方が多い傾向がある。目先の節税にとらわれ、実質利回りを考えなかった結果で起こる現象だ。このケースでは明らかに、ある程度の資金が確保できるようになったタイミングで1棟買いをするべきだった。そうすれば、何倍かは儲かったことだろう。
もちろん買うとなれば、一時的に返済額や経費でキャッシュフローが苦しくなることもある。でも、入居者を獲得していけば家賃収入でキャッシュが回るようになるのだ。
その後は、家賃収入をコツコツ積み上げることも、タイミングよく売却することも可能だ。さらに、管理費や修繕費の差額は内部留保に回せる。また、年数が経ってきた時も、家賃を下げるのではなく、設備やデザイン、場合によっては間取りなどをリフォームで変更させていくことで人気を高めることも、オーナーのみが実行できる。また、シンプルに物事を動かせる分、「どうすれば家賃をアップできるか」「いつが売り時か」などを見る余裕ができ、投資の質を高めることもできる。
このように、投資も人生と同じで、意識しなければステップアップはない。レベルの低い業者や人脈とのつき合いで資産と時間を消耗させるのではなく、より高いステージへと駆け上がりながら人生を楽しむべきだ。