どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東武鉄道東上線と東京メトロ有楽町線、副都心線の始発駅「和光市」。

無個性なベッドタウン…住むなら南口エリアがおすすめ

駅周辺の家賃水準をみていきましょう。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は6.00万円、11分を超えると5.55万円(図表1)。同条件の横須賀市の家賃水準は、駅10分圏内で5.99万円、11分を超えると5.55万円。「和光市」駅周辺は、和光市の平均と、ほぼ同程度の家賃水準です。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(6月18日時点) ※単位は万円
[図表1]「和光市」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(6月18日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

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「和光市」駅周辺は、20代会社員でも十分に検討できる家賃水準です。大手ポータルサイトで検索すると、20代適正家賃内、駅チカ10分圏内といった条件で見つかる単身者向け物件も豊富です。街の造成が本格化したのが1970年代ということもあり、築40~50年代の物件が多く、新築の供給数は多くはありません。今後、建て替えが進み、新築物件が増える可能性はありますが、現状、築年数へのこだわりが強い人は、選択肢が多くはないことを意識しておいたほうがいいでしょう。

 

交通面はどうでしょうか。「和光市」から「池袋」は17分、東京メトロ有楽町線利用で「市ヶ谷」は33分、「有楽町」42分、東京メトロ副都心線利用で、「新宿三丁目」27分、「渋谷」34分(所要時間は平日8時に「和光市」駅を出発した場合の目安)。前述の通り、「和光市」駅は東京メトロ2路線の「座れる始発駅」として圧倒的なアドバンテージがあります。

 

買い物環境ははどうでしょうか。駅南口には「イトーヨーカドー」「サミットストア」「サンディ」、北口には「いなげや」があります。南口にはドラッグストアチェーン店も点在しています。なにかと充実している南口なら最寄品の購入にこまることはないでしょう。

 

飲食店はどうでしょうか。駅南口には、ファストフードやファミレス、牛丼店、定食店と、お馴染みに飲食チェーン店が集積。食べることに関しても、「和光市」駅では南口エリアが便利です。

 

東京メトロ副都心線の乗り入れにより、東京近郊では唯一、都心にも山手線西部の主要エリアにも座って行けるという、絶対的なポジションを獲得した「和光市」。近年、東京のベッドタウンとして開発されてきたため、街の個性と呼べるものも、しゃれたスポットも、特にありません。突出した部分はない代わりに、住みやすいといえるかもしれません。

 

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