市場に公開されている物件と違い、購入の決断にスピードが求められる、アメリカのオフマーケット(市場に公開されていない)物件。株式会社オープンハウスのウェルス・マネジメント事業部・高山吏司氏、ブロドスキ・ザクリ氏、豊岡昴平氏の共書『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』より一部を抜粋し、オフマーケットにおける不動産購入のポイントを解説していく。※アメリカ不動産投資セミナー情報はコチラ

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アメリカでは、デポジットを巡るトラブルが非常に多い

私が日本に来て、自分自身が賃貸住宅に住み、不動産の仕事に関わるようになって驚いたのは「管理会社の管理レベルが非常に高い」ことです。なにか住宅に問題が生じたとき、電話で連絡すればすぐに対応してもらえますし、家賃や敷金の管理なども、管理会社が原因となるトラブルが生じることはまずありません。

 

一方、アメリカのPM(プロパティ・マネジメント=管理)会社は、日本ほど管理の質が高くありません。よくあるのが、デポジット(敷金)をめぐるトラブルです。

 

アメリカでは、日本と同様に、賃貸住宅への入居時にデポジットを、通常一ヵ月分支払うのが普通です。支払われたデポジットは管理会社が預かり、退去時に原状回復に必要な清掃などを行った際に、その費用分が敷金から差し引かれます。

 

日本では管理会社がきちんとした明細書を作り、残金があれば入居者に返済しますが、アメリカでは、このデポジットを巡るトラブルが非常に多く、管理会社が入居者にデポジットを返済しないことから、訴訟になることもよくあります。

 

アメリカでは「管理会社」有責のトラブルが多い
アメリカでは「管理会社」有責のトラブル・訴訟が多い

訴訟社会において「空気を読む」は通用しない

そういった、ルーズな管理会社は問題外ですが(しかし、よく見られます)、日本人がアメリカ不動産を購入して管理会社を選ぶ際には、いくつか重要なポイントがあります。

 

第一は、入居者との交渉を丁寧にやってくれるかどうか、ということです。

 

アメリカは訴訟社会です。その背景には、」世界中から集まったさまざまな民族や文化の人たちが集まっているので、「だまっていてはお互いに理解できない」という理由があります。

 

日本のように、だまっていても「空気を読む」といった考えは、通用しません。そのため、自分の考えを主張することが当たり前で、アメリカ人には「とにかくいってみる」という姿勢がどんなときにも貫かれています。

 

お互いが自分の意見を主張し合うために、やたらと「交渉ごと」が増えます。訴訟も一種の交渉ですから、訴訟が多いという事実は、交渉ごとが多い「交渉社会」だということの一側面にすぎないのです。

ある程度、自身で判断してくれる管理会社が望ましい

管理会社の中には、交渉ごとをあらかじめ防止するため、「クレームは一切、受け付けません」といったような、非常に機械的で冷たい対応をするところもあります。当然ながら、そういった管理会社が管理する物件は入居者の評判が悪くなり、入居率にも影響します。

 

一方、入居者からのクレームをすべていちいち報告されて判断をあおがれても、オーナーとしては面倒です。

 

とくに、日本とアメリカの時差を考えると、管理会社からオーナーに連絡があって、オーナーが判断して管理会社に指示をして、といったプロセスだけで、2日や3日は経ってしまいます。いちいち待たされる入居者は、いらいらしてしまいます。

 

そのため、ある程度のところまでは管理会社自身が判断して、小さな修繕程度であれば現場で対応してしまい、それ以外の重大な事案だけを連絡をしてくれる管理会社が、日本のオーナーにとってはベストです。

 

例えば、私たちが販売したテキサスの物件を管理しているグループ会社では、原則として500ドルまでの修繕などについては、現地の判断で行う、それ以上についてはオーナーの了承を得るといったルールを定めています。これによって、日本にいるオーナーは、時差を気にせず、安心して管理を行うことができます。

 

ただし、緊急を要するケースはもちろん別です。

 

実際にあったケースですが、エアコンが故障して止まってしまったという連絡が入居者からありました。管理会社の人間が見に行くと、完全に壊れていて、交換しなければなりません。

 

交換するとなると、1500~2000ドルくらいはかかってしまいます。本来であれば、オーナーの了承を得るべきなのですが、テキサスの夏は気温が高く、エアコンなしで過ごすことはできません。もし時間がかかって、入居者に健康被害でも出てしまったら、それこそ損害賠償請求という話になるでしょう。

 

そこで、現地の管理会社は、すぐ修理会社に連絡してエアコンを交換し、オーナーには事後報告としました。このように、ときにはオーナー判断を待たない迅速な対応も必要となります。

優秀な管理会社は「証拠」をしっかり保管しておく

管理会社選びの二つ目のポイントとしては、なにごとにつけても「証拠」をしっかり保管しておく会社であることです。

 

繰り返しですが、アメリカ人はなんでもかんでも「いわないと損」だと思っているので、簡単にいろいろなクレームをいってきます。たとえば、入居後に入居者が床のカーペットを汚してしまったとします。すると、「最初から汚れていたから、そちらの負担で直してくれ」といったことをいってきたりします。

 

その際には、入居前に撮っておいた写真を見せて、その汚れはなかった、と証拠ベースで反論しなければなりません。優秀な管理会社は、そういう準備もしっかりやっておきます。

「入居者が満足できる管理の質」を保つことが重要

三つ目のポイントは、日本語での対応が可能であること、毎月のレポートを遅れないできっちり出してくれることなどですが、これは当然のことでしょう。

 

お客様からは、よく「アメリカだと入居者からの訴訟が多くない?」と聞かれます。もちろん、平均的に見れば日本よりは確実に多いでしょう。

 

しかし、私たちがこれまでに販売した約700棟に関しては、いまのところ入居者から訴訟を起こされるケースは、1件も発生していません。これは、日本レベルを保つようにしている管理の質が、入居者から満足されていることも、大きな理由だと思われます。とはいえ、注意も必要です。

 

アメリカ人の私がいうのもなんですが、アメリカ人の中にも、仕事に対する責任感が弱く、時間を守らなかったり、契約書に間違いが多かったり、いいったことはやるけど、それに関連したことでも、いっていなければ絶対にやらない、といった感じの人もいます。

 

もちろん、全員がそうというわけではありませんが、会社を背負った責任感を持ったり、お客様のために気を利かせて仕事をしたりといった意識をもたない人もいます。

 

そのため、最初は良いと思っていても、年月が経つにつれてだんだん管理会社の対応がルーズになっていく、といったこともあります。

 

そういうとき、アメリカでのビジネス経験があって、英語が得意な人なら直接管理会社に対してクレームを申し入れ、場合によっては管理会社を変えてしまえばいいのですが、多くの日本人オーナーにとって、それは少し荷が重いかもしれません。

 

 

 

ブロドスキ・ザクリ

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 エグゼクティブコンサルタント

本連載は、2019年3月13日刊行の書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

2年間で約700棟の物件を仲介する今もっとも注目の最強集団が 本邦初公開の知識を惜しげもなく明かす! アメリカ不動産投資の知名度は、以前と比べれば上がっているとは言え、やはり「投資目的で、海外の不動産を購入する」…

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